助成研究成果報告書Vol.34
124/332

キーワード:マグネシウム合金板,衝撃塑性加工,数値解析 や航空機,より身近なものでは,自動車などの輸送機器でエネルギー効率改善が継続的に取組まれている.しかし,例えば,新幹線の車両構造,自動車のボディフォームを工夫することによる対策はほぼ飽和しており,さらなる改善には,様々な種類の材料を適材適所で使いこなすマルチマテリアル化が必要である.このマルチマテリアル化で注目されている材料の一つに,マグネシウム合金がある.マグネシウム合金は,実用金属中最軽量,高比強度で,高リサイクル性などの特徴を持つため,省エネルギー化を期待できる材料として注目されている.しかし発火性,加工(成形)性,腐食性など課題があり,性能向上に向けて研究されている1)-3). 本研究では,そのうち,常温での成形性が低く,かつ大型サイズの成形が難しいという課題に取組む.マグネシウム合金は結晶構造が最密六方構造であり,常温の加工すべり面が一つしかなくプレス成形しにくいため,常温での加工方法は未だ開発されていない.現在,板状加工する圧延時に高温にして冷間プレスでの成形性を向上させる方法,プレス時のマグネシウム合金板と金型を250℃以上にする方法4)など,加工工程中の高温加熱により加工成形性能を向上させている.しかし,加熱によるコスト,冷却時の「反り」に伴う不良品や冷却時間による生産性の低下により,加工コストが増大する.そのため,マグネシウム資源は豊富にあり,上述の多くのメリットがあるにも関わらず,市場競争力を持たない. 上述の常温での成形性が低いという課題を解決できる可能性がある塑性加工法の一つに衝撃成形法5)がある.衝撃成形法とは,これまでに異種材料の接合や難加工材の成形性向上の技術開発に貢献してきた衝撃塑性加工の一つであり,爆薬の爆発により発生した水中衝撃波および爆轟ガスによる水圧作用が試料の金属板に変形を促進し,型に押し付けて金属板を成形する方法である.これまでの先行研究4)では,衝撃銃を利用したマグネシウム合金の型成形試験による高速変形挙動の解明が行われており,高速度(820m/s)の場合では,マグネシウム合金が型(深さ5mm,幅3mmの溝)に流入して成形が可能であることが示されてる.この衝撃成形法によるマグネシウム合金の成形方法の実用化を目指し,本稿では,この研究の第二ステップとし1.研究の目的と背景 環境に配慮した取組みは種々行われており,新幹線車両熊本高等専門学校 生産システム工学系MIグループ (2018年度 一般研究開発助成 AF-2018020-B2) 講師 西 雅俊 て,爆薬を衝撃エネルギー源とした衝撃成形法について,実験と数値解析の両方でマグネシウム合金の型成形について調べる. 2.実験条件および方法 2・1 実験の概要 本稿では,通常の加工方法では成形困難な図1の平板歯車形状を有する金型に対してマグネシウム合金厚板(AZ31,厚さ10mm程度)の型成形実験を行い,成形形状を調べる.図1(b)は,平板歯車形状を有する金型の正面図であり,孔の深さ5mm,角度αは14.5(deg)とする. 2・2 実験装置の概要 図2(a)に実験装置および図2(b)に実験の概略図を示す.SEP爆薬を衝撃エネルギー源として利用し,中間板の鋼板(厚み15mm)を高速度で押し出すことにより,試料であるマグネシウム合金の型成形を達成する.なお,実験は国立大学唯一の総合爆薬実験所を有する熊本大学で適切な安全指導の下で実施する. (a) (b) 図1 平板歯車形状を有する金型 − 122 −衝撃塑性加工を用いたマグネシウム合金厚板の 冷間加工に関する基礎研究

元のページ  ../index.html#124

このブックを見る