助成研究成果報告書Vol.34
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3.プレスブレーキを用いたV曲げ成形 実際の生産における基礎的な検証としてプレスブレー方向と面内方向の熱収縮率が異なることで生じると説明されている2).熱収縮率は樹脂が支配的である.これら3つのシートの板厚方向の熱収縮率は同等である一方で,面内方向については,UD疑似等方が最も小さく,UDカット,ランダムの順に大きい.このためUD疑似等方のスプリングインが最も大きかったと考えられる.ランダムのばらつきが大きいのは,面内方向で樹脂リッチ領域が偏在しているためと考えられる. 図15 成形品のスプリングイン角度 2.7 剛性 成形品の剛性試験の方法と結果を図16に示す.試験片の一端を治具に固定し,40mm離れたところを試験機で押し下げて荷重―変位波形を記録し,その傾きを剛性とした.3つの成形品の平均値とし,エラーバーはレンジである.UD疑似等方とUDカットの剛性は同等である.これは両者にみられた繊維のうねりなどの変形に大きな違いがなかったことを示していると考える.ランダムシートの剛性が他より低いのは,繊維配向がばらついているためだと考えられる. 図16 成形品の剛性 キを用いたV曲げ成形装置を開発した.実際の生産ではサイクルタイムを短くすることが重要である.この考えから,シートの加熱はあらかじめ別の装置で行い,金型は樹脂の固化温度以下にして成形と同時に積極的に冷却する方式とした.このために図17に示す加熱装置を製作し,シート中央の10mmの範囲を上下のヒータプレートで加熱し,金型まで搬送するようにした. 図17 プレスブレーキ用加熱搬送装置 プレスブレーキの成形プロセスを図18に示す.280℃に加熱した加熱装置にCFRTPシートを設置し,1分間加熱する.シートを速やかに金型の板押さえ上面に設置する.パンチを押し下げると板押さえの斜面に沿ってシートが90°に曲げられる.さらにパンチを下死点まで下げてダイの下部のバネの圧縮により圧力を付与する.下死点で10秒間保持した後パンチを上昇して成形品を取り出す.プレスブレーキに設置した金型を図19に示す. プレスブレーキで曲げた成形品の外観を図20に示す.UD疑似等方シートを180℃の金型で曲げたものであるが,基礎実験と同様に内側の繊維が幅方向に押し出されて曲げ成形することができており,プレスブレーキを用いた加工が可能であることがわかった. 図18 プレスブレーキによるV曲げプロセス 図19 プレスブレーキに設置した金型 図20 プレスブレーキによる曲げ成形品 − 104 −

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