成形後のランダムシートの表面を図11に示す.ランダムシートは元の繊維配向が不規則であるため,表面状態からどのような変形が生じたかを特定することが難しい.同一面内でも繊維方向がばらばらであるため,さまざまな変形が複合している.外側ではR部とストレート部の境界で層間剥離が生じている. 図11 成形後のランダムシート表面の様子 UDカットシートの曲げ部の断面写真を図12に示す.写真の白く見えるのが繊維の断面で,灰色は母材樹脂である.試験片長手方向(0°)の繊維は断面が白い線として観察される.幅方向の繊維(90°)は断面が白い丸として観察される.R部の中心(a)では,7層目の繊維は元の繊維方向のままである.一方で1層目は繊維が幅方向に向いており,うねり変形により方向が変化している.Rとストレートの境界部(b)では繊維が板厚方向に波打って6と7層の間で層間剥離が生じている.これは中央バーと上プレートの連結部に隙間があるためと考えられる.中央バーで試験片が圧縮されたとき,内側の層が外側に向かって押し出されて繊維が曲がりながら中央バーとプレートの隙間に押し込まれたと考えられる. 図12 UDカットシート曲げ部の断面 UD疑似等方シートの断面写真を図13に示す.UDカットシートの場合と同様に,7層目の繊維方向は成形前と同じである一方で1層目はうねりのために幅方向に向いている.Rとストレート部の境界では5から7層目の間で層間剥離がみられる. ランダムシートの断面写真を図14に示す.R部中心(a)では,曲げ内側の繊維層が厚くなっており,中心に向かって圧縮を受けたことが推察される.R部とストレート部の境界にボイドがみられる. 2.6 曲げ部の角度 成形品のスプリングイン角度を図15に示す.スプリングインは,目標の90°に対して小さくなることを表す.3つの成形品の平均角度とし,エラーバーはレンジを表す.スプリングインが最も大きいのはUD疑似等方である.次いでUDカットシートである.ランダムシートの平均値が最も小さいが,ばらつきが大きい.スプリングインは板厚図13 UD疑似等方シート曲げ部の断面 図14 ランダムシート曲げ部の断面 − 103 −
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