助成研究成果報告書Vol.34
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2.2 V曲げ基礎実験プロセス 図5にV曲げ成形プロセスを示す.まずCFRTPシートを下プレートの上面に設置する.上型を降ろしてCFRTPシートを挟み,シートが所定の温度になるまで加熱する.加熱後,ヒータの電源を切り,上型をさらに降ろして曲げ加工を行う.下プレートが冷却ブロックにあたるところで下降を停止する.シートが固化温度に低下するまでこの状態を維持する.冷却後,上型はその形状を維持したまま上昇する.下プレートがバネで水平に戻り,V曲げされたシートが取り出される. 2.3 試験片の作成 試験片として,一方向繊維(UD)テープを用いた(1)UDカットシート,(2)UD疑似等方シート,(3)ランダムシート,を製作した.元となるUDテープはTenCate製で,母材樹脂はPA6,Vfは50%,板厚は0.16mmである. UDカットシートの繊維配向を図6(a)に示す.繊維方向を45°ずつ回転しながら7層積層し,板厚を1mmにしたものである.各層において繊維に対して45°方向にカットを入れて繊維長が30mmにしてある.UDカットシートの狙いは不連続繊維にして流動性を高めつつ,繊維を規則正しく配置することである.また各層の重なりが均一なので樹脂リッチ領域を少なくする.さらに繊維をできるだけまっすぐにする.炭素繊維が曲がった状態で引張ると直線状になるまでは剛性が低いと考えられる.カットがあるため曲げ加工において切れ目が開いたり隣り合う繊維が重なったりして曲げ変形する可能性がある.加熱圧着条件は,カットを入れた各層を平板金型内に設置して260℃に加熱し,3MPaを与えながら冷却して200×100×t1mmのプレートを製作し,そのプレートから長さ90mm,幅30mm,板厚1mmの試験片を切り出した. UD疑似等方シートの繊維配向を図7(b)に示す.繊維の重ね方はUDカットシートと同一であるが,カットがなく繊維がすべてつながったものである.曲げ線に対して繊維が直交するのは最表面の1層目と7層目であるが,これが曲げ成形においてどのように変形するかに着目する. V字型になる.下プレートも回転し,V字型になる.この動きによりCFRTPシートがV字に曲げられる.CFRTPシートの下面は支えがなくなるが,下側のステンレス箔によりある程度の圧力が保持される.ステンレス箔は両端からバネで引張られておりテンションがかかっている.この状態を保ったままヒータの電源を切り冷却を行う. 図3にV曲げ装置の全体構造を示す.中央バーを押し下げるプランジャ先端には冷却水が流れている.中央バーは加熱過程ではプランジャから離れて不要な冷却を防ぐ.変形過程でこれらは接触し中央バーが冷却される.上部のストッパはV型になった上プレートの姿勢を固定するものである.成形後に上型が上昇する過程で上プレートが水平に戻ると,曲げたCFRTPシートが再び開いてしまうが,これを防ぐ.下プレートは傾斜のついた冷却ブロックに接触して冷却される.曲げ角度はその下のストッパの位置で調整することができる.下型のバネは下プレートを水平に戻す.実際に製作した装置の写真を図4に示す.装置は島津製作所の万能試験機に取り付けて成形実験を行った. 図3 V曲げ基礎実験装置全体構造 図4 製作したV曲げ装置 図5 V曲げ成形プロセス − 101 −

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