キーワード:炭素繊維強化熱可塑性樹脂,V曲げ,プレスブレーキ 動車等の輸送機器の軽量化に貢献し,稼働中の消費エネルギの削減につながることから,量産への適用が期待されている.CFRPのなかでも母材にナイロンなどの熱可塑性樹脂を用いたCFRTPの特徴は,加熱すればやわらかくなり変形加工が可能なことである.このため従来の熱硬化性CFRPよりも短時間で成形ができ量産に適しているとして注目されている. 一方向繊維(UD)や織物などの連続繊維シートは強度が高い一方で,炭素繊維が伸び縮みできないため,金属のように塑性変形することができない.したがって曲げ加工の基本的な考えは,図1(a)に示すように,シート全体を加熱して樹脂を溶融し,シート全域にわたって層間を滑らせることになる. 一方で,炭素繊維長を10~30mmとした不連続繊維CFRTPは,溶融状態において繊維が流動することができ,リブやカップなど複雑形状に対応することができ,実用に耐えうる強度を有することがわかっている1).不連続繊維CFRTPは面内方向で繊維に切れ目があるため,図1(b)のように,部分的な加熱による曲げ加工において外側の切れ目が広がって伸び変形ができると考えた.したがってプレスブレーキによるフレキシブルな生産が実現する可能性がある. 本研究では,不連続繊維CFRTPシートを部分的に加熱しV曲げ加工を実現する装置を開発することを目的とする.また実際の生産プロセスにおける検証を行うため,精密板金加工を行っている株式会社小林製作所との共同研究において,プレスブレーキに搭載する金型の開発,CFRTPシートの曲げ成形実験を行った. (a) 連続繊維の場合図1 曲げ加工における繊維変形イメージ 1.研究の目的と背景 炭素繊維強化樹脂(CFRP)は重量当たりの強度が高く,自シート全体の加熱層間すべり層間すべり金沢大学 設計製造技術研究所 (2018年度 一般研究開発助成 AF-2018015-B2) 変形部のみ加熱すべりなし繊維間隔の伸び助教 立野 大地 2.V曲げ基礎実験 2.1 基実験装置 V曲げ成形における基本的な変形挙動を調べるため,リンク式の基礎実験装置を設計製作した2).V曲げ装置に求すべりなしめられる主な機能は,(1)シートを部分的に加熱することである.これは接触式ヒータを用いて必要な領域のみを加熱するようにした. (2)曲げ変形過程で層間剥離が起きないようにする.これは,CFRTPシートをステンレス箔で挟んだまま曲げ加工することで層間剥離を防ぐことを狙った.(3)冷却過程で圧力を保持する.このためにステンレス箔にテンションをかけることでCFRTPシートに圧力を保持することを狙った. 上記の機能を備えるものとして,V曲げ装置の基本構造を図2のようにした.図2(a)はCFRTPシートの加熱過程を示している.2枚の上プレートと中央バーがピンで連結されている.中央バーにはカートリッジヒータが内蔵されており,この熱で上プレート中央部を加熱する.上プレートの底面はステンレス箔で覆われている.下プレートも2枚あるが,中央で連結していない.左右の下プレートそれぞれの先端にカートリッジヒータが内蔵してある.下プレートの上面もステンレス箔で覆われている.CFRTPシートは上下のステンレス箔の間に設置し,中央部のみを熱伝導で加熱する.図2(b)は曲げ成形時を示している.中央バーを押し下げると上プレートが両端の軸を中心に回転し図2 V曲げ装置基本構造 (b) 不連続繊維の場合− 100 −熱可塑性不連続CFRPシートのV曲げ装置の開発
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