助成研究成果報告書Vol.34
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図8 6061-T6/DP980鋼接合板の(a)SEM像,(b)Feマップ,(c) Alマップ,(d) IQ(Image Quality)マップ,(e)IPF(Inverse Pole Figure)マップ,および(f)KAM(Kernel Average Misorientation) マップ. 謝 辞 4. まとめ (1) 6061-T6板とDP780 鋼板の接合において,放電エネルギーWが3.0kJの場合,間隙長dが1.17~1.42mmの接合条件で母材破断に至る良好な接合ができた.この時の衝突速度は430~459m/sであった. (2) 衝突速度の増加により接合板の接合幅は広くなる傾向を示した.しかし,間隙長d=1.59mm以上(衝突速度459m/s以上)の接合では,接合幅は狭くなり,接合部剥離となった.引張強度が高い接合板の接合強度や接合可否を衝突速度のみで判断できない. (3) 可動板が固定板に衝突してからも可動板に電磁力が作用し続けることを考慮すると,可動板の衝突時間が最大5. 参考文献 1) 林,薄鋼板成形技術研究会編 :プレス成形難易ハンドブック第4版(2017) 2) 新倉昭夫:UACJ Technical Reports, 2(2015) 96-106. 3) 相沢友勝:塑性と加工, 44-512 (2003), 957-959. 4) 日本塑性加工学会編:接合―技術と全容の可能性―,コロナ社 (1990). である.鋼板の強度が高くなるにつれて,接合可能な間隙長の範囲は狭くなり,接合条件が限られるが,この条件を満たす間隙長で6061-T6板と1GPa級ハイテン鋼板の接合が達成できた. 電流値に到達する時間よりも短い時間になるように間隙長を選択すればよい.従って,衝突時間は衝突速度に加え,接合条件に影響を及ぼす因子の一つであると考えられる. (4) 6061-T6板とDP980 鋼板の接合において,(3)の結果に配慮した結果,放電エネルギーWが3.0kJの場合,間隙長dが1.17~1.31mmの接合条件で母材破断に至る良好な接合ができた.この時の衝突速度は430~446m/sであり,DP780 鋼板との接合の場合と比較して接合の間隙長範囲が狭くなった. (5) SEM観察の結果,いずれの接合板の接合界面にも波状模様が観察され,また,不連続的にFeとAlから構成される中間層が生成していることが分かった.渦のように巻き込まれた母材同士が,アンカー効果を生じたと考えられる. (6) EBSD分析の結果,6061-T6/DP980鋼接合板の接合界面には塑性ひずみが蓄積しており,また,母材内部と比較して結晶粒が微細化していた.アンカー部分の結晶粒微細化は,接合界面を強化する因子となると考えられる. 本研究は公益財団法人天田財団一般研究開発助成(AF-2018012-B2)の支援を受けて行われたものである.付記して感謝申し上げる. り,5度までのミスオリエンテーション値の分布を示している.KAMマップに示されるひずみの蓄積度から,接合時に鋼板側(固定板側)に10μm程度まで比較的多くのひずみが導入されたと考えられ,(e)と比較すると,結晶粒が微細な領域と一致している. 接合界面に観察される波状模様は爆発圧着等の衝撃力を用いた接合界面で観察される波状模様と同様のメカニズムで形成されると考えられる.電磁圧接は爆発圧着と比較すると衝撃力が弱い電磁力を用いた線接合法であるが,せん断力が接合板の接合界面に平行に負荷されるため,互いの板表面が塑性変形して,アンカー効果を生じるため,界面の接合強さの向上において好ましい組織形態である. 接合条件は衝突速度が速い方が望ましい.従って,図5から分かるように,コイルと可動板はある程度の広い間隙長を必要とする.しかし,接合板がコイルからうける電磁力の作用を考えると,間隙長は狭い方が望ましい.この相反する接合条件を満たすためには,放電電流が最大電流値に達するまでの時間に可動板が高速度で固定板に衝突することが必要であることが分かった.従って,良好な接合を達成するためには,放電エネルギーWを一定とした場合,間隙長dの調整により衝突時間を制御する事が必要である.適切な接合条件の検討において,正確な衝突時間の測定は重要となり,本研究で用いた電気的な測定法は効果的 − 99 −

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