助成研究成果報告書Vol.34
100/332

図7 (c) 6061-T6/DP780鋼接合板,(d) 6061-T6/DP980鋼接合板の接合界面BE像.(e)と(f)は,それぞれのアンカー部分の拡大BE像. 図7(a)に6061-T6/DP980鋼接合板(W=3.0kJ, d=1.17mm)の断面BE像(右側)を示す.接合幅はd=1.17mm では1.38mm,またd=1.31mmでは1.29mmであり,6061-T6/DP780鋼接合板と同程度の長さの接合幅であった.また同様に接合界面からは波頭部分の内側に部分的に中間層の形成が認められた.図7(b)に6061-T6/DP980鋼接合板(W=3.0kJ, d=1.17mm)の引張せん断試験後の試験片の外観写真を示す.6061-T6/DP980鋼接合板においてW=3.0kJとした場合,写真に示されるd=1.17mmに加えてd=1.31mmでも6061-T6板で母材破断する強固な接合が可能であった.つまり,6061-T6板とDP780鋼板との接合の場合と同様に,衝突時間がtc<tmの場合に良好な接合が可能であり,上記の考察と一致する.しかし,d=1.42mmでは未接合であることから,6061-t6板とdp780鋼板との接合条件と比べると,より接合条件が狭くなることが分かった. 図7(c)と(d)に6061-t6="" dp780鋼接合板と6061-t6="" dp980鋼接合板の接合界面の拡大図を示す.いずれの接合界面からも,波状模様が観察され,6061-t6母材に接合時の塑性流動により渦のように巻き込まれた母材同士が,アンカー効果を生じていると考えられる.図7(e)と(f)にそれぞれのアンカー部分の拡大像を示す.いずれのsem像からも波頭部分の形状に沿って結晶粒が引き伸ばされている様子が観察され,dp780鋼板では母材内部の組織と比較して結晶粒が微細化している様子が分かる.一方,dp980鋼板では,母材の粒径が微細であるために判断しづらい.="" 図7="" (a)="" 6061-t6="" dp980鋼接合板(w="3.0kJ," d="1.17mm)の断面BE像.(b)" この図からtc="">tmではtc<tmと比較すると,2枚の板が接触している圧接時間は短く,濃い灰色で示される部分の力積を受ける事になるが,tc<tmでは,この黒灰色の力積に加えて薄い灰色で示される部分の力積も受ける事になる.つまり,tc<tmの接合条件の場合,衝突速度は僅かに遅くなるが,コイルからより大きな電磁力の作用を受ける事になるw=3.0kjの場合は放電電流の最大値は280kaである.可動板に及ぼす電磁力の影響を定量的に示す事は難しいものの,電磁力が放電電流の2乗に比例することからも,tc<tmの場合,可動板が薄い灰色で示される力積分の電磁力(最大電磁力を含む領域)の作用を受ける事が接合性に影響したと考察される.図5の結果から,衝突速度に起因する衝撃圧力に加え,最初の衝突直後から可動板に連続的に生じる電磁力の作用が大きい場合,接合幅が広くなると考えられる.従って,衝突時間は衝突速度に加え,接合条件に影響を及ぼす因子の一つであると考えられる. そこで,作製した6061-t6="" dp980鋼接合板(w="3.0kJ,d=1.17mm)について接合界面のSEM観察およびEBSDによる結晶方位解析を行った.図8に6061-T6/DP980鋼接合板の(a)SEM像,(b)Feマップ,(c)" alマップ,(d)="" iq(image="" quality)マップ,(e)ipf(inverse="" pole="" figure)マップ,および(f)kam(kernel="" average="" misorientation)="" マップを示す.sem像から接合界面には固定板と可動板の衝突時の塑性流動により生じた波状模様が観察される.図8="" (b)feおよび(c)alの元素マップからは,dp980鋼板と6061-t6板との接合界面が明瞭にわかる.図中には,波頭部分の内側にfeとalの両元素が共に分布している領域が確認され,板厚方向に10μm程度の中間層を形成している事が分かった.図8(d)iqマップではiq値の低い領域が中間層に対応しており,微細な結晶粒が形成されたことが示唆される.図8="" (e)ipfマップには,結晶粒の方位差を15度以上とした境界線(結晶粒界)を合わせて示す.白枠で囲った接合界面近傍は波状模様形成時の塑性流動が生じた領域であり,母材の粒径と比較すると,微細化している様子が分かり,接合界面に沿って1μm以下の結晶粒が観察された.結晶方位はランダムである.この組織形成は,局部溶解の際に急冷凝固したか,もしくは衝撃変形によって界面近傍でひずみの蓄積と加熱が生じ,再結晶化したことに起因すると考えられる.図8="" (f)のkamマップは個々の測定点における隣接ピクセル間の結晶方位差の平均値を示してお−="" 98="" −="" <="" p=""> </tmと比較すると,2枚の板が接触している圧接時間は短く,濃い灰色で示される部分の力積を受ける事になるが,tc<tmでは,この黒灰色の力積に加えて薄い灰色で示される部分の力積も受ける事になる.つまり,tc<tmの接合条件の場合,衝突速度は僅かに遅くなるが,コイルからより大きな電磁力の作用を受ける事になるw=3.0kjの場合は放電電流の最大値は280kaである.可動板に及ぼす電磁力の影響を定量的に示す事は難しいものの,電磁力が放電電流の2乗に比例することからも,tc<tmの場合,可動板が薄い灰色で示される力積分の電磁力(最大電磁力を含む領域)の作用を受ける事が接合性に影響したと考察される.図5の結果から,衝突速度に起因する衝撃圧力に加え,最初の衝突直後から可動板に連続的に生じる電磁力の作用が大きい場合,接合幅が広くなると考えられる.従って,衝突時間は衝突速度に加え,接合条件に影響を及ぼす因子の一つであると考えられる.></tmの場合に良好な接合が可能であり,上記の考察と一致する.しかし,d=1.42mmでは未接合であることから,6061-t6板とdp780鋼板との接合条件と比べると,より接合条件が狭くなることが分かった.>

元のページ  ../index.html#100

このブックを見る