助成研究成果報告書Vol33
93/466

キーワード : 高出力レーザ,研削加工,半導体レーザ,光ファイバ ZXY 図1 レーザ援用研削実験装置の概要 1. 研究背景・目的 2. 実験環境 東北学院大学 工学部 機械知能工学科 (平成29年度 重点研究開発助成B 課題研究 AF-2017204) 教授 松浦 寛 安定化直流電源冷却部空冷冷凍式チラー研削装置レーザ照射ヘッドレーザ光被削材動力計チャージアンプデジタルオシロスコープ光ファイバ(10 m)切り込み量 砥石ACモータ 電動スライダ災害等により,建造物が倒壊し,内部に有害物質が充満した場所に,人が入って作業することが難しい劣悪環境下で,構造体を早急に撤去しなければならない場合がある.例えば,原発事故による燃料デブリの除去では,放射線により人が立ち入れない,または沈没船内では水深によっては人が潜って行けないなどである. さて,このような場合の構造物除去を考えると,研削は切り屑が粉体となるため吸引などにより回収が容易に行える利点がある.更に,無数の砥粒(切れ刃)によって,複合難削材など様々な材料を削ることができる.よって,我々は劣悪環境下において実用の可能性が高い方法の一つと考えている1)〜8).しかし,研削は「仕上げ」が主目的のため,大量に除去する加工には適していない.そこで,本研究ではレーザで被削材を加熱し軟化させることで加工効率の向上を目指した. 実験の結果,最大光出力1 kWのレーザ援用研削では,研削のみで加工するよりも研削効率が良く,レーザ照射時間を長くするほど研削量が増加した.本報告では,その内容,および新たに開発した最大光出力3 kW光源について述べる. デブリ除去を想定した実験系を図 1に示す.半導体レーザ(以後,LDと呼ぶ)から出る光ファイバから出射する光を被削材に直接照射する方法である.LDの波長は,ファイバーレーザ(以後,FLと呼ぶ)の励起光の915 nmである.光ファイバは放射能の影響を受け難い無機材料の石英マルチモード光ファイバ(以後,MMFと呼ぶ)である.一般に,光ファイバによるレーザ加工と言えば,FLが注目を集めている.FL用のシングルモード光ファイバ(以後,SMFと呼ぶ)は設計パラメータ(コア径と比屈折率差)を調整することで横モードを少なくして高出力化を実現している.これによりビーム品質を表すM2値(理想は1)も1.2前後と良いため,レンズでビームを絞り,パワー密度を上げることができる. 一方で,SMFは非線形媒質でもある.ラマン閾値近くの光出力を使うFLは誘導ラマン散乱(SRS: Stimulated Raman Scattering)が課題の一つになっている.光出力と伝送損失(接続損失含む)が光ファイバの設計パラメータ上でトレードオフの関係にあり,FL用SMFの伝送損失は約0.03 dB/mになる.一般的な生産工場に設置するFLは,レーザ本体から加工先まで5 m程度のため損失が目立たない.しかし,仮にレーザ本体を200 m離れたところに設置するならば,光出力の75%が伝送損失となる.したがって,我々は伝送損失が一桁優れているMMFから直接照射する方式を採用した. 使用したLD単体の最大定格は60 Wである.LDからの熱は,ヒートシンク内部に冷却水を循環させてチラーにより熱を逃がしている.砥石回転は,放射線により電子機器が使用できないため水流駆動モータを用いることになるが今回はACモータ(回転数6800 rpm)を使用した.砥石は,アルミナ(#30)砥粒を用いた直径φ250 mm,厚さ2.5 mmを使用した.これらを電動スライダにより,切り込み量(Z軸方向),および被削材の移動(Y軸方向)LD− 91 −劣悪環境下における高出力レーザによる難削材の 高効率除去加工に関する研究

元のページ  ../index.html#93

このブックを見る