助成研究成果報告書Vol33
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 本実験装置におけるホットワイヤの先端の温度は1200℃付近まで上がることが確認された.なお, ホットワイヤとコールドワイヤを比較したところ, 安定に加工できているホットワイヤ時の溶融池の挙動は,ワイヤが溶融池に静かに供給され,そこ 高速に大容量を積層できるかを調べたところ,本装置では,積層速度は8.16kg/hを出せることが確 造形実験の結果,きちんと円筒形状ができており,積層条件を適切に調整することで,ホットワイヤ なお,積層物の外観向上や加工の改善などは今後4.結び 3・6 ホットワイヤ式の造形テスト 造形実験では,円筒の造形を試みた.円筒形状を選んだ理由は,円筒にはXYZどの方向の運動も満遍なく含まれているため,試作した加工機に加工方向依存性等があった場合には,その方向の加工だけ劣悪になるという形で明確に確認できるからである.積層条件を調整し,加工条件をレーザ出力2kW,スキャン速度1.5m/min,ワイヤ電流30A,ワイヤ送り速度4m/minで直径50mmの円筒を造形した際の挙動を直接カメラでとらえた写真を図図1100に示す. 図図1100 円筒積層実験中の様子 写真の通り溶融金属の飛沫が時折飛び出すものの,ワイヤは加熱された状態で安定的に加工点に供給され,そこでレーザによって溶融/積層が進んでいることが確認された.また,図10の赤熱している軌跡からも明らかなように,レーザでなぞっている部分はきちんと円形の閉曲線であり,適正な軌跡で積層していることが確認できる. 図10の造形実験の結果,得られた造形の外観を図図1111に示す.造形物の形状は図の通りきちんと円筒形になっており,積層加工が終始安定に進んでいたことがわかる.また,特定の方向だけ加工の品質が落ちる加工方向依存性も図図1111 円筒積層実験結果の一例と積層中の様子 なく,良好な結果であった.なお,積層に要した時間は約10分であった.この結果より,積層条件を適切に調整することで,ホットワイヤ式のワイヤ積層を安定に続けることが可能であることが確認された. なお,造形物表面の凹凸はパウダーベッド式3D造形や粉末噴射型のDEDに比べると粗いため,造形のまま使うことができる例は限られると考えられる.また,造形物の周囲には複数のスパッタが確認されている.これらは造形中に溶けたワイヤや溶融池の一部が液滴としてはじき出された結果であり,ワイヤの脱線を含めて,これらの現象は造形に寄与しない材料の無駄である.これらを抑制できる加工の改良はこれからの課題である.また,レーザを集光させ,更に細いワイヤを使う等で,もっと細幅で精密な造形も期待できるが,それも今後の課題である. 本研究では,ステンレス鋼とインコネルにおけるレーザを熱源としたワイヤ供給型金属積層をホットワイヤ化することによるワイヤ 3D 造形の高効率化を研究した.得られた主な成果を以下に示す. 昇温速度は,ワイヤに流す電流によって変わることも確認された. ワイヤ先端の温度が低いコールドワイヤでは,ワイヤの送り速度を上げるとすぐに溶着して加工不能になったが,ワイヤ先端が高温なホットワイヤの場合は,コールドワイヤの2倍以上の送り速度で送っても加工ができることが確認された. でレーザによって溶融して積層になっていくことが確認された.また,ワイヤが通電によって赤熱していること以外はコールドワイヤの場合の挙動とよく似ていることも確認された. 認された.この値は目標の7kg/hを十分超えている. 式のワイヤ積層を安定に続けることが可能であることが確認された の課題である. また,今回得られた主な結果から予想できるレーザを熱源としたワイヤ供給型DEDの展望としては次のようなものがあると考えている. − 89 −

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