助成研究成果報告書Vol33
89/466

まずは,ワイヤに電流を流し,加工点であるワイヤと試験片の接点の温度をサーモグラフィで測定した.図図22にその一例を示すが,試験片と接する点で900~1200℃を達成した.なお,図中でワイヤが6の字のようになっているのは,通電中はワイヤが一定速度で供給されるため,それらが試験片と接する点の辺りでとぐろを巻いたからである. 図図22 ホットワイヤの温度測定結果の一例 また,ホットワイヤ時の温度変化を調べたところ,図図33のような温度と時間の関係が確認され,このようなグラフから読み取れる昇温速度はワイヤに流す電流で異なることが確認された.電流が30Aでは昇温速度は142℃/秒だったが,120Aでは760℃/秒だった.したがって,積層に合わせて電流の調整が必要であると考えられる. 図図33 ワイヤ電流30Aでの温度変化データ 3・2 ホットワイヤのワイヤ供給限界調査 ワイヤ造形の場合,加工点でレーザが照射されてワイヤを溶融しながら造形をしていくので,ワイヤの供給が過剰になると,レーザによるワイヤの溶融が追い付かなくなり,積層ビードにワイヤが溶着する.そのため,加工中にワイヤが試験片に溶着する速度を限界の供給速度とみなし,ホットワイヤによる加工限界の拡大を調べた.レーザ出力2kWで固定して,ワイヤ電流0Aと120Aの時の第1層目積層を比較した結果を図図44に示す.ワイヤが室温で加工点まで供給される(ホットワイヤではない)電流0Aでは,送り速度が3m/minで限界(ワイヤ溶着)が確認されたが,ホットワイヤで供給されている電流120Aでは,7m/minで供給してもまだ溶着が確認されなかった.この結果より,ホットワイヤによってワイヤの供給速度は2倍以上に向上できることが確認された.これは,ホットワイヤでない場合図図44 ホットワイヤによるワイヤ供給速度 に比べて2倍以上のワイヤを供給できることと同じなので,造形効率の大幅な向上が期待できる結果である. 3・3 ホットワイヤの加工点での挙動調査 また,ホットワイヤで積層中の挙動について,ワイヤに電流を流さない場合と差異がないかを調べるため,ホットワイヤで加工中の加工点を高速度カメラで直接観察を行った. ワイヤに電流を流さない時の挙動を観察した例を図図55に示す.このデータは本研究を始める前に確認した8)ものであるが,特徴としては,ワイヤが加工点までワイヤのままで供給され,レーザの照射でワイヤが溶融して溶融池に流れ込む状態が安定して継続することで造形されることがワイヤに電流を流さない時の挙動の特徴である. 図図55 ワイヤ供給型造形中の溶融池近傍の挙動 一方,ホットワイヤで加工中の挙動を観察した結果を図図66に示す.この観察はワイヤ電流が120Aの時を観察したものであるが,電流を流さない時と同様にレーザが照射されている所へワイヤが途切れることなく供給され,レーザの照射によってワイヤが溶融して積層されていく挙動が安定的に継続する様子が観察された.なお,電流を流したことでワイヤが赤熱していたため,図5よりも図6ではワ図図66 ホットワイヤで供給中の加工点での挙動と模式図 − 87 −

元のページ  ../index.html#89

このブックを見る