助成研究成果報告書Vol33
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キーワード:ワイヤ供給型造形,ホットワイヤ,レーザ造形 1.研究の目的と背景 2.実験方法 2・1 実験装置の概要 近年,金属でも3Dプリンタが実用化されてきており,金属粉末等を供給しながらレーザや電子ビームを照射しながら造形する加工が広がってきている1-3).特に金属ワイヤのような固体供給型の造形は,造形材料の供給密度を高くできるので,体積の大きな造形でも高速にできることが期待できる4)が,ワイヤ溶融のためのエネルギーは熱源から与えるしかないので,高速な造形のためには強力なレーザ等が不可欠である.しかしながら,強力な大出力レーザ発振器は非常に高価であり,レーザの出力だけに頼る高速化/高効率化は実用的ではない. 一方,ワイヤと基板の間に電流を流して加熱するホットワイヤという方法でワイヤを溶接前に加熱して供給する技術は溶接で時々見かけられる手法5-6)である.もし,ワイヤ供給型の造形においても,この方法でワイヤを供給することができれば,加工点にワイヤを高温な状態で供給できるので,レーザ等の熱源からワイヤ溶融のために供給すべきエネルギーを抑制でき,固体供給型造形の高速化/高効率化や,小さい出力のレーザでも固体供給型の造形を可能にできる,などの可能性が広がる. そこで,本研究では,レーザを熱源としたホットワイヤ方式のワイヤ造形機を試作し,ワイヤ供給型 3D プリンタの造形性能の向上を図る.目標としては,すでに市販されている電子ビーム型ワイヤ造形機の造形能力7)に匹敵する造形速度は7 kg/hour 以上 を目標に開発する. また,高温材料で直接造形の要望の高いインコネル合金での造形も行い,直線や四角,丸のような単純形状の造形で造形能力や精度の評価も行う. 本研究で用いた実験装置の構成を図図11に示す.レーザの照射部にワイヤが供給できるようにワイヤ供給口を保持できる造形用ノズルを新作し,それを通じてワイヤ供給機からワイヤが供給される.そして,ホットワイヤ電源およびワイヤ供給機は市販のものを調達し,図1のように接続して試験片とワイヤの間に電流を流した. なお,3D造形するためには,試験片上をワイヤ供給機能の付いた集光系が3次元に移動するか,試験片が固定されているテーブルが3次元に移動する必要がある.本研究では,試験片の側をXYZ方向に動かせるようにXYZテーブ産業技術総合研究所 製造技術研究部門 (平成29年度 重点研究開発助成 AF-2017203) 主任研究員 瀬渡 直樹 3.研究成果/実験成果 3・1 ホットワイヤのワイヤ温度調査 図図11 ホットワイヤ式ワイヤ造形機のレイアウト ルを設置し,このテーブルとレーザ発振器,ホットワイヤ電源を制御して加工する制御コンピュータを通じて実験を行った. 本研究で用いた高出力レーザは連続発振で4kWのYAGレーザで,焦点での集光径は0.6mmである.また,ホットワイヤ電源およびワイヤ供給機は市販のもので,最大電流が135Aの交流電源である.供給するワイヤについては,材質がステンレス鋼とインコネル718であり,ワイヤの直径は1.2mmのワイヤを供給して積層加工した. 加工実験の一方,加工点の挙動の観察においては,加工点の照明に可視光レーザを用いて,その波長が通過するバンドパスフィルタを付けたカメラで観察した.また,ホットワイヤのワイヤ温度の測定はサーモグラフィを用いてワイヤの温度変化を観察した. ワイヤ供給型の積層加工は,前の積層の上に次の積層を重ねるため,前の層が安定に加工できることが特に重要である.そのため,第1層目の積層を安定に行うことが最も重要であるといえる.それはホットワイヤでも例外ではないので,ホットワイヤにすることによる効果や,ホットワイヤ時の温度分布,ホットワイヤ加工時のワイヤや溶融池の挙動など,ホットワイヤの効果を第1層目の積層で研究した. − 86 −ホットワイヤ方式によるワイヤ 3D 造形の高効率化

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