図6 ナノチャネル中を移動するがん細胞の光学顕微鏡による観察 図4 ボトルシップ集積加工技術により、ガラスマイクロ流体構造の天井面に形成されたウッドパイル構造のタンパク質(BSA) スマイクロ流体素子中に集積化されたウッドパイル構造のタンパク質(BSA)を集積化することに成功した7)。 さらに副次的な成果として、前駆体中のタンパク質濃度を上げ、かつレーザー光の照射強度を高くすることで、光重合開始剤を使用しない純粋なタンパク質の3次元造形技術を開発した8)。光重合開始剤を混合した溶液を前駆体として用いると、光重合開始剤分子が造形した構造体中に混入するという問題点を、ラマン分光法により明らかにした。光重合開始剤は毒性を持つものもあり、そのような汚染の混入は、生体内で起こる現象観察・解明を行う微小擬似生体バイオチップには望ましくない。純粋なタンパク質を3次元造形できることにより、より生体の機能を模したバイオチップが実現できることが期待される。 3・3 微小擬似生体バイオチップによるがん細胞マイグレーションの観察 病気の早期診断、発症メカニズムの解明、生体内で起こる様々な現象の観察や理解は、人類の健康・長寿の社会を実現する上で重要であり、今日、生物・医学者が精力的に研究を行っている。日本人の死亡原因の第1位はがんであ図5 がん細胞の転移の様子 るが、がん細胞の転移を抑制することができれば、がんによる死亡率を劇的に低減することが可能である。図5に示すように、がん細胞の転移はまずがん細胞が基底膜や体内組織を通り抜け、その後リンパ流や血流に沿って他の部位に移動することによって生じる。がんの転移の初期過程においては、がん細胞の大きさが数μm〜数十μmであるため、図5に示すように、基底膜や体内組織を通り抜けるために、その形状を大きく変形させる必要がある。実際、がん細胞が自身の大きさより狭い領域を通り抜けることができることは知られている9)。一方、その際がん細胞がどのように形状を変化させ、かつその時がん細胞内部の核や小器官がどのようになっているかはほとんど分かってい− 77 −(a) (b)
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