助成研究成果報告書Vol33
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キーワード:フェムト秒レーザー,3次元加工,バイオチップ 図1 複合超短パルスレーザ3次元微細加工技術の手順 め、レーザはその主要な加工ツールとなっている。3次元造形技術はAdditive Manufacturingとも呼ばれ、付加加工技術に分類される。3次元造形技術により、これまで作製が困難であった複雑な3次元構造体の構築が可能となった。一方超短パルスレーザは、ピーク強度がきわめて高いため、非線形多光子吸収により透明材料に対しても強い吸収を生じさせることができる。これにより超短パルス秒レーザ光を適当なエネルギーで透明材料内部に集光すると、集光点でのみ効率的に多光子吸収を誘起でき、透明材料内部の改質•加工を行なうことができる。この特長を利用することにより超短パルスレーザは、付加加工(Additive Manufacturing, 3Dプリンティング)だけでなく、除去加工(Subtractive Manufacturing)、無変形加工(Undeformative Manufacturing)の3つの異なる形態の3次元加工を実行することができる。それぞれの加工法の代表例は、除去加工技術がガラス内部への3次元流体構造形成1), 2)、無変形加工がガラス内部の屈折率制御による3次元光導波路描画3)、付加加工が紫外線硬化樹脂を用いた多光子造形4)であり、世界の多くの研究者が現在も活発に研究開発を行っている。一方それぞれの加工法には一長一1.研究の目的と背景 近年、3次元造形技術(3Dプリンティング)が注目を集国立研究開発法人理化学研究所 光量子工学研究センター 国立研究開発法人理化学研究所 脳神経科学研究センター (平成29年度 重点研究開発助成Aグループ研究 AF-2017201) チームリーダー 杉岡 幸次 研究員 河野 弘幸 短があり、一つの加工法であらゆる3次元構造や機能を構築できる訳ではない。そこで本研究では、それぞれの加工法の弱点を補いつつ特長を融合することにより、より複雑かつ高機能な構造を実現する複合超短パルスレーザ3次元加工技術の開発を行った。開発した複合超短パルスレーザ3次元加工技術により微小擬似生体バイオチップを作製することを提案し、がん細胞の侵襲・転移のメカニズム解明等、生体内で起こる現象の観察・解明へ応用した。 2.実験方法 図1に、複合超短パルスレーザ3次元微細加工技術の手順を示す。まず超短パルスレーザガラス内部3次元加工技術(図1(a)-(c))により、3次元マイクロ流体構造を作製する1)。具体的には、透明なガラスに対して超短パルスレーザ3次元直描を行なう(図1(a))。ここでレーザ光を適当な強度でガラス内部に集光すると、集光点でのみ多光子吸収を誘起でき、図1(b)に示すように材料内部の3次元改質を行うことができる。レーザ改質領域はレーザ未照射領域と比較してフッ酸水溶液に対し50倍程度大きいエッチング速度を有する。その結果、フッ酸エッチングによりレーザ光照射領域を選択的に除去することができ、図1(c)に示す3次元マイクロ流体構造をガラス内部に形成す− 75 −複合超短パルスレーザ3次元微細加工技術の開発と 高機能デバイス作製への応用

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