助成研究成果報告書Vol33
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AB(b) 切削加工AB(a) せん断加工 素材 パンチ ������������ ��/√3 被加工材のせん断変形抵抗を�,切込み深さを�0,切りくず厚さを��,パンチの直径を�とすると,加工に必要なエネルギーからパンチ圧力�は次のようになる7). �2��4���tan��0.5cos�����4��/� ���� ��1��tan�� 通常, tan� は 0.1-1.0, � は0.1-0.3の範囲内にあり, �/2���3~12���/�となる.さらに, ��/� の常用範囲は0.01-0.1であり, �/2� は1.0より小さい. 2.切削モードによる鍛造の基本概念と力学 切削モードを用いる鍛造方法(以降,切削鍛造と呼ぶ)の概念を,図2(a)に示す軸対称モデルを用いて説明する.上端が固定された被加工材を下側パンチが速度Vで上方に移動して切削する.切削除去された材料は切りくずと同様にウェブに流れ込む.せん断面AB上でせん断変形を生じ,図 2(a)の速度線図からせん断による相当ひずみεは次式によって算出される. 3.1 シミュレーションの条件 切削鍛造が可能な範囲を図3の軸対称モデルのシミュレーションで調べた.被加工材はSPCC 軟鋼板とし,変した.Cを変形抵抗の代表値とする.背圧をpb/C = 0.005-0.05,摩擦係数を0.1-0.5の範囲で変化させた. 3.2 工具圧力 カウンターパンチによりpb/C = 0.005 の背圧を加えて切削鍛造するときのH字型ダブルカップの成形工程を図4(a),(b) に示し,加工中のパンチ圧力の変動を(c)に示す.図4(a)における点A,BおよびCは,図4(c)の同じ記号の位置に対応する.上下パンチの角の間のせん断変形によっキーワード:塑性加工,板鍛造,荷重低減 1.研究の背景と目的 板鍛造技術は中厚板材に深絞りなどの板成形工法と据込みや押出しなどの冷間鍛造工法を併用し,切削仕上げと同程度の形状および肉厚精度をもつ製品の製造技術として,国内では広く使われており,海外のキャッチアップも活発である1).国際冷間鍛造グループの年次大会ICFG2014,ICFG2016およびICFG2017では板鍛造が中心的なトピックスとして扱われ,欧州や中国からの論文の数が増えている2)-4). 板鍛造に適した製品形状は,シャープエッジ,半抜き部位をもつ平面形状,絞り品をベースとするカップ形状などを挙げられ,精密せん断品を除けば,ほとんどカップ形状である5).複雑な形状を成形しようとすると,大きな材料流動を発生させる必要があり,工具圧力が過大となりやすい6).このため,板鍛造は現状では,複雑形状,直径と板厚比の大きい形状および高強度材の成形が困難である. 板鍛造の適用範囲を広げるためには,低い加工圧力で被加工材を流動させる成形原理の開発が不可欠である.精密鍛造の加工終期では,被加工材は広範な領域において金型と接触し,複雑な変形が引き起こされ,工具圧力が極端に大きくなる. 単純な変形モードで加工の目的を実現する加工法として,図1(a)に示すせん断加工がある.せん断加工では2つの工具の刃先間の線上ABでせん断変形が生成され,塑性ひずみの蓄積によって最終的に分離が実現される.同様のせん断変形モードは,金属の切削加工にも見られる.図1(b)に示すように,切りくずはA点とB点の間のせん断変形によって生成されるが,変形後の材料はせん断変形領域ABから移動するため塑性変形の蓄積はなく,被削材の材質と切削条件によっては連続した切りくずが生成される. 本研究では,鍛造荷重と工具圧力を低減させるために,金属切削の変形モードを鍛造加工に適用することを試みる.適用例として,絞り-しごきで作製したカップの一部を動かし,断面がH型のダブルカップやフランジ付き有底カップの成形について調べる. 図1 せん断加工と切削加工の比較7) 東海国立大学機構 岐阜大学工学部機械工学科 (平成29年度 重点研究開発助成B AF-2017004) 図2 切削鍛造の力学7) 3.シミュレーションによる成形方法の検討 形抵抗曲線を�=���で近似し,C = 501MPa,� = 0.24 とダイ被削材切りくず工具教授 王 志剛 − 71 −板鍛造による高張力鋼板製 フランジ付き有底カップの成形法の開発

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