助成研究成果報告書Vol33
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(2) アルミニウム合金や金型鋼に対して微振動を付与することによって,継続的に安定した放電穴加工が可能となり,加工速度も向上する. (3) 工作物微振動付与によって既に加工した穴底面から(4) 非固定のつり下げ電極を用いた放電加工によって,工作物に微振動を付与することで,実用金属に対して複雑な曲がり穴加工が可能となる. (5) 超音波探傷法を活用して工作物背面からの反射波強度分布を調べることで,加工途中の曲がり穴形状を加工機上で高精度に計測できる. 1) 石田 徹, 竹内芳美:圧縮コイルばねとワイヤを用いた曲がり穴放電加工用電極送り機構の開発,精密工学会誌, 6655 (7), (1999) pp.982-986. 2) 石田 徹, 竹内芳美:スライダクランク連鎖を用いた曲がり穴放電加工用電極送り機構の開発,精密工学会誌, 6688 (2), (2002) pp.206-210. 3) 竹内明伸, 幸地正信, 湯沢 隆:曲がり穴形状の放電加工技術の開発,型技術者会議講演論文集, (2001) pp.222-223. 4) 内山光夫,芝崎禎四郎:電解加工による曲がり穴加工法の開発(第1報)-アクチュエータを持たない工具による加工法-,精密工学会誌, 6688 (11), (2002) pp.1476-1480. 5) 山口 篤, 岡田 晃, 三宅達也:つり下げ電極を用いた放電加工による曲がり穴加工法の開発-つり下げ構6) 山口 篤, 岡田 晃, 池嶋俊貴, 三宅達也:つり下げ電極を用いた放電加工による曲がり穴加工法の開発-8) A. Okada, A. Yamaguchi, K. Ota: Improvement of curved hole EDM drilling performance using suspended ball electrode by workpiece vibration, CIRP Annals - Manufacturing Technology, 6666 (1), (2017) pp.189-192. 9) D.Kremer, J. L. Lebrun, B. Hosari, A. Moisan: the - (1989) 10) 小川 仁,坂東和宏,常本佳生:放電加工における加Effects Performances Manufacturing pp.199-202. of Ultrasonic Vibrations in EDM, CIRP Annals Technology, of 3388(1), 謝 辞 参考文献 ××は深さ10mmの穴加工が不可能な条件である.図よりいずれの直径の電極球を用いた場合でも,高いサーボ電圧では広い極間距離でアークが生じにくいために安定した加工状態が継続でき,加工可能範囲が広がることがわかる.一方,放電電流値の変化に対しては,放電電流値の増加に伴って放電反力が大きくなって,非固定の電極球が過度に揺れ動くために頻繁に短絡が発生するようになる.このため,電流値が大きいほど加工状態が不安定となる傾向が見て取れる.さらに電極球直径の影響については,電極球直径が小さくなるほど,すなわち電極球質量が小さくなるほど,放電反力に対する電極球の揺れが極端に大きくなるために,頻発する短絡に伴う加工状態の不安定が助長され,加工不可能な加工条件が顕著に多くなる.従って小径電極球を用いて小径穴加工を安定した放電状態で実現するためには,放電電流値を小さく,またサーボ電圧の大きい条件を用いることで加工可能となる.例えば,電極球直径2.0mmでは,工作物に振動を与えながら,放電電流値4A,サーボ電圧110Vの加工条件によって,これまで不可能であった加工穴径2.6mmという3mm以下の小径穴の加工も可能となった. 9.まとめ 本研究では,非固定のつり下げ電極を用いた曲がり穴加工技術の性能向上のため,鉄鋼系金型材料やアルミニウム合金に対する加工状態の安定化,加工形状の機上での計測法,および加工穴小径化についての検討を行った.本研究で得られた結論は以下の通りである. (1) 非固定のつり下げ電極を用いた放電穴加工によって,放電加工性能の良好な亜鉛合金に対して様々な小径曲がり穴加工を創成できる. の加工再開が安定して行え,深い穴加工が可能となる. 本研究は,公益財団法人天田財団平成29年度重点研究開発助成B(AF-2017002)のもとで実施されました.ここに深く感謝申し上げます. 造の最適化と複雑曲がり穴加工の可能性-,精密工学会誌, 8811 (5), (2015) pp.435-439. 小径曲がり穴加工のための電極球質量および直径の検討-,精密工学会誌, 8811 (11), (2015) pp.1039-1043. 7) 三宅達也, 池嶋俊貴, 岡田 晃, 山口 篤,つり下げ電極を用いた曲がり穴放電加工における工作物振動付与の影響,電気加工学会全国大会講演論文集,(2017) pp.81-84. 工液超音波振動援用の効果,電気加工学会誌,4411(98),(2007)pp.163-168. (6) 電極球径の減少に伴い,安定した加工状態を得られにくくなる傾向があるが,最適加工条件下では直径3mm以下の小径穴加工も可能となる. − 70 −

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