助成研究成果報告書Vol33
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作用する力が大きくなり,電極の揺れが大きくなることで結果的に加工穴径が大きくなるものと考えられる. 次に,金型鋼に対して工作物振動振幅Azを変化させた場合の加工速度,および加工穴径変化についても検討した.図10は,工作物振動振幅を変化させた場合の穴加工速度Vw,および加工穴径dの変化を示す.振動振幅が大きいほど穴径は当然大きくなるが,その変化量は振動振幅Azに対してかなり小さい.従って,工作物に数百ミクロンの振動振幅を与えるだけで金型鋼,および超硬合金に対する安定した加工が可能となるが,振動振幅ほど穴径は拡大しないことが明らかとなった. 6.実用金属への複雑穴曲がり穴加工 各実用材料に対して様々な曲がり穴加工を試みた.図11に合金工具鋼に対して屈曲穴加工を試みた工作物の断面写真を示す.それぞれの写真下に工作物の最終傾斜角と加工の際の回転比を示しており,左の場合であれば,直線加工を1.0mm行うごとに工作物を10°傾ける操作を3回行うことを表す.図より,60°までの屈曲穴形状が正確に得られていることが分かる.アルミニウム合金に対しても同様の加工が可能であった. 次に,複雑な曲がり穴を加工した例を図12に示す.左の写真は45°の屈折加工後に直線加工を行い,その後屈折方向を反対にして45°の屈折加工を試みた屈折形状が連続する曲がり穴の加工である.2つの屈折形状が正確に得られていることが分かる.また,45°の屈折加工が連続して行えているためさらに複雑な形状の曲がり穴加工が期待できる.また,右の写真は2方向から90°の屈曲加工を行うことで,U字の形状を加工した結果である.このように,工作物に微振動を付与しながら加工することで,これまで安定した加工状態での加工が困難であった,金型鋼やアルミニウム合金に対しても精度よく曲がり穴加工が可能となった. 7.加工穴形状の機上測定法の検討 加工穴が長くなると,加工中の電極箔つり下げ部図9 放電電流値およびサーボ電圧が加工速度および加工穴径に及ぼす影響 図10 工作物振動振幅が穴加工特性に及ぼす影響 図12 アルミニウム合金に対する複雑曲がり穴加工 図11 合金工具鋼に対する屈曲穴加工 − 68 −

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