助成研究成果報告書Vol33
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その振動を上部に支点を設けたL字型ステーを介して工作物に伝達する機構となっている. Z方向とX方向の工作物振動波形を示すが,工作物は水平方向よりも鉛直方向に 能向上のため,鉄鋼系金型材料やアルミニウム合金に対する加工状態の安定化と深穴加工の実現,加工形状の機上での計測法,および小径穴加工における加工特性の解明と加工の安定化についての検討を行った. 2.非固定つり下げ電極による曲がり穴加工法の原理 図3に非固定のつり下げ電極を用いた曲がり穴放電加工法の原理を示す5).この方法では,薄い絶縁膜で被覆された箔でつり下げた電極球を用いる.加工機の主軸(Z軸)を下降させることで,電極球は常に重力方向へ加工を進める.電極球が角度を変化させたい位置へ到達した際,工作物を所定の角度に傾ける.つり下げ部が十分に柔軟であれば,その位置から重力方向へ加工が進行する.これらの制御を必要な角度,回数設定することによって,所望の形状の曲がり穴を得ることができる. 工作物には,亜鉛合金,アルミニウム合金(JIS A5052)および合金工具鋼(JIS SKD11)を使用した.放電加工はNC形彫り放電加工機(Sodick製,AP1L / AQ35LR)を使用した.使用した主な加工条件を表1に示す.電極消耗を極力低減するためパルス幅は400μsと長く設定している.加工機主軸の制御はZ軸方向のみで,電極のジャンプ動作は行っていない. 3.亜鉛合金に対する曲がり穴加工 これまでに本加工法によって,その融点の低さから放電加工性の良好な亜鉛合金に対し基礎検討を行ってきた.得られた曲がり穴加工例を図4に示す.左の加工例は深さ30mm,直径約6.0mmの直線深穴加工後に工作物を徐々に傾斜させながら短い直線穴加工を繰り返すことで屈曲穴を加工した例である.この場合屈曲角度は90,その曲率半径は11.5mmとなっている.深い直線穴加工に続いてほぼ設定通りの形状が得られていることが分かる.また,右の例では,曲率半径の異なる2つの屈曲穴形状が連続する複雑な曲がり穴の加工を試みた.10mmの直線穴加工の後に曲率半径5.7mm角度60度の屈曲穴を加工し,次に10mmの傾斜した直線穴加工を行う.その後,曲率半径17.2mmの屈曲穴を加工,さらに直線加工となっている.設定形状を中心線で示すとおり,十分な形状精度で複雑な曲がり穴が加工できる. 4.工作物振動による加工安定化と実用金属への加工 これまで放電加工特性の良好な亜鉛合金に対して基礎検討を行ったが,鉄鋼やアルミニウム合金などでは,極間が狭いため加工粉滞留に起因する短絡によって加工継続が不可能となる.基礎検討7)で加工中工作物に振動を付与することで短絡を防止し加工不能状態が解消できることを把握しており,これを利用して安定加工状態の継続性と穴加工再開を検討した. 図5に用いた振動付与装置を示す.タービンバイブレータ(EXEN製,BTP24) を用いて振動を発生させており,図4 亜鉛合金に対する曲がり穴放電加工例 図3 曲がり穴放電加工の原理 表1 放電穴加工条件 図5 振動付与装置と工作物振動波形 Electrode polarity Open circuit voltage (V) Discharge current ie (A) Servo voltage Sv (V) Pulse duration te (s) Duty factor  (%) (+) 120 12 - 36 40 - 110 400 50 − 66 −

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