助成研究成果報告書Vol33
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3・4 初期表面形状がナノ周期構造へ及ぼす影響 周期構造を形成し,適切なレーザフルエンスにより連続性の良い表面形状とすることが有効であることが示唆された. 図7 ナノ周期構造の連続性と細胞配向性の関係 前項までに示したとおり,純Ti基板表面に形成したレーザ誘起ナノ周期構造は細胞配向性の付与に有効であることが明らかになった.ここで,インプラント表面の加工面性状は様々であり,それらの初期表面形状に対してナノ周期構造を形成した場合,ナノ周期構造の表面形状に影響を及ぼすと考えられる.本項では機械研磨を行ったTi基板の初期表面粗さがナノ周期構造の形状に及ぼす影響について実験的に調べた.さらに,その影響を低減させる方法について検討した. はじめに,電解研磨を行った純Ti基板表面に超短パルスレーザ光を照射することで試料の除去深さを調べた.図2で示したレーザ照射セットアップを用い,4×8 mmの領域にナノ周期構造を形成した.ここで,1回の走査でナノ周期構造形成領域を形成した場合を走査面回数1scanと定義し,同一箇所を1scanから20scansまで走査した.図図8に示すように,レーザ光未照射領域からナノ周期構造形成領域までを触針式表面粗さ計を用いてプローブを走査し,断面プロファイルを測定した.ここで,プローブの走査方向はナノ周期構造の溝方向に対して垂直方向とした.得られた断面プロファイルより,レーザ光未照射および照射領域の平均高さの差を除去深さDremと定義した. 図図9に除去深さとレーザ光走査面回数の関係を示す. 1 scan時の照射回数は15shotsとしている.図より1 scan時の除去深さは約60 nmであり,走査面回数を増加させるほどその除去深さは線形的に増加している.走査面回数20 scans時においては約1.1 µmの除去厚さが得られている. 初期表面粗さがナノ周期構造に及ぼす影響を検討するため,1 scan時の除去深さより大きな0.72 µmRzの初期表面粗さを有し,研磨痕が一定方向のチタン試料表面に対してレーザ光を同一箇所に多数回走査する実験を行った.この際,レーザ光照射セットアップおよび条件は図2で示した通りで,レーザ走査回数は1 scanから20 scansへと変化させた.また,初期表面粗さを有した試料の研磨方向に対して,レーザ光の走査方向は約15°変化させた. 図図10にレーザ未照射およびレーザ照射後のSEM観察画像を示す.図より走査回数1 scanの場合,機械研磨面上では電解研磨面に形成したナノ周期構造よりも幅および周期が短く,また形成される溝構造の方向は走査方向に対して右に約15°傾いた形状が形成されていることがわかる.20 scansの条件では溝構造の連続性に違いはあるが,電解研磨面に形成したナノ周期構造に近い幅と周期,かつレーザ光走査方向に沿ったナノ周期構造が形成されている. 図図11にプローブ顕微鏡を用いた表面形状測定結果を示す.図より超短パルスレーザ光を1scan走査することで形成されたナノ周期構造は凸部高さ220 nm,周期間隔470 nmとなっている.一方,走査回数を20 scansとした場合,凸部高さは240 nm,周期間隔は540 nmとなり,電解研磨面に形成したときに近い形状(凸部高さ260 nm, 周期580 図8 除去深さの測定方法 図9 走査面回数による除去厚さの変化 − 436 −

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