助成研究成果報告書Vol33
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ている8).よって,高いレーザ強度を有するフェムト秒のパルス幅では凸部の優先的な除去を引き起こしアスペクト比の小さな表面形状となったと考えられる. 次に,パルス幅を高アスペクト比が得られるパルス幅tp=5.0 psで一定とし,レーザフルエンスFを0.25-0.45 J/cm2へと変化させた場合における,ナノ周期構造の単位長さあたりの不連続点の数とアスペクト比の関係性を図図5に示す.レーザフルエンスを0.25 J/cm2から0.45 J/cm2へと変図4 ナノ周期構造のアスペクト比制御 図5 レーザフルエンスによるナノ周期構造の連続性変化 化させるとアスペクト比αは5.0程度に維持されるが,単位長さあたりの不連続点の数Pdが0.13から0.36 µm points/µmへと増加することがわかる.すなわち,レーザフルエンスの増加によりナノ周期構造の連続性が低下することが示された. 3・2 ナノ周期構造のアスペクト比が細胞配向性に与える影響 パルス幅tpを0.2から5.0psへと変化させることでアスペクト比を変化させたナノ周期構造形成領域をそれぞれTi基板表面に形成し,細胞試験を行った.レーザ未照射部および各アスペクト比を有するナノ周期構造上において,細胞配向性を評価した結果を図図6に示す.レーザ光を照射していない場合,θcell=Randomにおける細胞数が約60%となり,θcell=0°-90°においては約5%と一様である.すなわち,レーザ未照射面ではランダムに細胞が伸展しており細胞配向性がないことがわかる.一方で,ナノ周期構造上では,どのアスペクト比の場合でもθcell=Randomにおける細胞数は20%以下に減少しθcell=0°-90°にかけて細胞数が増加する傾向が得られており,細胞配向性が生じている.θcell=75°以上の細胞数の割合を合計するとα=0.34および0.44では約70%であるのに対し,α=0.57のときは約80%以上の細胞配向性が得られている.以上より,高アスペクト比を有するナノ周期構造によって,細胞配向性が向上することが明らかとなった. 図6 高アスペクト比による細胞配向性の向上 3・3 ナノ周期構造の連続性による細胞配向性変化 各レーザフルエンスにより連続性を変化させたナノ周期構造において,前項と同様にヒト骨芽細胞による細胞試験を行った.θcell=75°以上に配向した細胞数の割合を測定し,単位長さあたりの不連続点の数Pdと細胞配向性との関係性をまとめた結果を図図7に示す.図より,単位長さあたりの不連続点の数が0.14から0.36 µm points/µmへと増加すると細胞配向性が約80%から約50%へと低下することがわかる.これまでに得られた結果より,細胞配向性の向上には5.0 ps程度のパルス幅で高アスペクト比のナノ− 435 −

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