キーワード:レーザアシストAr-GMA溶接,溶接プロセス安定化,機械学習 タベースから、入出力間の関係を、入力因子の影響がわかりやすい数式として自動導出可能なLSRF5法2) (Least squares assisted rule extraction method from facts Version 5)を用いて、溶接条件とワイヤ溶融-未溶融境界位置の関係に関する予測式を作成する。その後、溶接条件とワイヤ溶融-未溶融境界位置の関係について考察するとともに、未知の溶接条件におけるワイヤ溶融-未溶融境界位置の推定を行う。 2. 実験およびデータベース構築方法 図1 純Arシールドガスで生じる溶融金属液柱. 1. 研究の目的と背景 溶接ワイヤを送給し、ワイヤ先端と母材の間でアーク放電を発生させてワイヤと母材を溶融して接合する消耗電極式溶接(Gas Metal Arc溶接: 以下、GMA溶接)は構造物製作において広く利用されている。鋼系材料の溶接ワイヤを用いたGMA溶接では、溶接部の靭性向上の観点から純Arガスをシールドガスとして吹付けながら溶接を行うことが有効である。しかし純Arシールドガスを用いると、ワイヤ先端部に長く伸びた溶融金属液柱(図1)が生じ、溶接プロセスが不安定になるという問題がある。そのため、純Arシールドガスを用いたGMA溶接(以下、Ar-GMA溶接)は実用化されてこなかった。 近年、著者の研究グループでは溶接プロセス不安定化の原因となる金属液柱を定期的に照射するレーザにより切断することで、安定したAr-GMA溶接を可能にするレーザアシストAr-GMA溶接プロセスを提案してきた1)。これまでの検討から、レーザアシストAr-GMA溶接プロセスにおいて、金属液中を適切に切断し、安定した溶接プロセスを実現するためには、レーザの照射位置が重要であり、溶接ワイヤが加熱により溶融して細径化する領域(以下、ワイヤ溶融-未溶融境界)の近傍とする必要があることがわかっている。このワイヤ溶融-未溶融境界の位置は溶接電流や溶接電圧等の溶接条件により変化する。そのため、各種溶接条件におけるワイヤ溶融-未溶融境界位置を特定するためには、レーザ光源を使用した高速度カメラ観察が必要となる。しかし、適用する全溶接条件に対してワイヤ溶融-未溶融境界の位置を評価することは現実的でない。 そこで、本研究では、鋼系溶接ワイヤを用いた際のレーザアシストAr-GMAプロセスにおける適正レーザ照射位置提案システムの構築を目指した基礎的検討として、機械学習を活用した550 MPa級鋼用ソリッドワイヤ(ワイヤ径: 1.2 mm)におけるワイヤ溶融-未溶融境界位置予測式構築に関する検討を行う。具体的にはまず、種々の溶接条件におけるワイヤ溶融-未溶融境界の位置を取得し溶接条件とワイヤ溶融-未溶融境界位置の関係データベース構築する。さらに未知の溶接条件におけるワイヤ溶融-未溶融境界位置を推定するために、著者らが提案した入出力関係のデー 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 構造材料研究拠点 溶接・接合技術グループ (平成29年度 奨励研究助成A(若手研究者)AF-2017237) 主任研究員 北野 萌一 2・1 実験方法 SM490鋼上に550 MPa級鋼用ソリッドワイヤ(ワイヤ径: 1.2 mm)を用いてAr-GMAビードオンプレート溶接を行った。溶接電源としては定電圧特性電源を用いた。溶接条件は表1に示すように、ワイヤ送給速度の設定値を3段階に変更し、それぞれのワイヤ送給速度において4段階のチップ母材間電圧(溶接電圧)に変更した。チップ-母材間距離はすべての溶接条件において25 mmで一定とした。ワイヤの溶融挙動は高速度カメラによりフレームレート5000 frame/sにて1秒間撮影した。さらに、高速度カメラによる撮影中のワイヤ送給速度、溶接電流、チップ-母材間電圧を計測した。表1には計測時間内のワイヤ送給速度、溶接電流、チップ-母材間電圧の平均値を示している。 2・2 ワイヤ溶融-未溶融境界位置評価方法 図2に2・1節で得られた高速度カメラ画像の一例を示 − 425 −適正レーザ照射条件の明確化と機械学習を応用した レーザアシストAr-GMA溶接における 適正条件提案システムの構築
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