助成研究成果報告書Vol33
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図9せん断引張試験結果.(a)異なる出力,(b)異なる走査速度でそれぞれ作製したアンカー層を介した接合体の荷重-ストローク曲線.(c)接合強度のまとめ,(d)接合強度とエネルギー密度の関係図10は隆起アンカー層表面とA5052基板側破面のSEM像を示す.上段のアンカー層を介して接合した試料の引張図10 各レーザ条件で作製したアンカー層(上段)とそのアンカー層を介した接合体の引張試験後の同一視野の破面(下段).ることで形成される粒の面積率はレーザ条件に依らず概ね一定であったと考えられる(図8(b)).また,レーザのエネルギーが大きい場合には,粒内部に-Al相のみの部分が観察された(図7).これはレーザの投入エネルギーが大きくなることで,基板の一部が溶融し,粒と粒の間へAlが供給されたためであると考えられる.これにより粒の幅が大きくなり,アスペクト比が減少したと考えられる(図8(d)).また,粒と基板の接合率に関しては,Al3Tiの形成が顕著となるためには基板の表面付近の温度が上昇することが重要である.Lambiaseらによれば同じ投入エネルギーであっても,レーザの出力が大きいほどレーザが照射された基板の表面温度は上昇する12).したがって,本研究においても,出力が大きいほど基板の表面温度が上昇し,界面反応が促進されて接合率が増加したと考えられる(図8(e)).また,こうしたことから,走査速度よりも出力の寄与の方が大きく,エネルギー密度では整理できない結果となったと推察される(図8(f)).3・2接合強度図9にせん断引張試験の結果を示す.図9(a)はレーザ走査速度を10 mm・s-1に固定し,レーザ出力を変化させて作製したアンカー層を介した接合体の荷重-ストローク曲線である.レーザ出力が高くなるほど,接合強度が向上することが分かる.また,図9(b)はレーザ出力を400 Wに固定し,レーザ走査速度を変化させて作製したアンカー層を介した接合体の荷重-ストローク曲線である.走査速度が10 mm・s-1の場合に比べて,30 mm・s-1の方が接合強度が高いことが分かる.また,30 mm・s-1以上では走査速度が大きくなるほど,接合強度が減少することが分かる.各条件で3回のせん断引張試験を行い,接合強度の平均値をまとめたものを図9(c)に示す.本研究の範囲では,400 W-30 mm・s-1の条件で最も接合強度が高かった.図9(d)に接合強度とエネルギー密度の関係を示す.接合強度はエネルギー密度に対して,特定の相関関係を示さなかった.試験後,同じ位置の破面が下段に示されている.接合強度の低かった200W-10 mm・s-1の試料では,PA6だけでなく粒もほとんど残っていなかった.これは,せん断引張荷重によって粒が基板から剥離したことを示している.接合強度が改善した400 W-100 mm・s-1の試料では,粒が少し残っており,その周囲にはPA6が残存していた.さらに,接合強度が最も高かった400 W-30 mm・s-1の試料では,大− 423 −

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