図3 レーザエネルギーフルエンスを変えて図1 レーザパルス幅とパルス積重数を変えて 図4 レーザパルス幅変化による 図2 レーザパルス幅と積重数変化によるかる.LIPSSを形成し始めるより前の積重数では,表面にナノサイズの粒状構造を形成した.この粒状構造はLIPSSに比べ周期性や規則性が低いが,LIPSS形成の起源となる構造であると考える.LIPSS形成の初期段階ではLSFLを形成し,積重数を増すとLSFLに加えHSFLを形成し始め,さらに積重数を重ねるとHSFLの占める領域が増した.また,パルス幅が狭いほど,低積重数でLIPSSを形成し始め,LSFLからHSFLに移行する積重数が小さい傾向が見られた.この条件下では,パルス幅2nsでのLIPSSの形成は確認できなかった. それぞれのパルス幅のレーザで形成したLIPSSの,積重数変化によるLIPSS周期の推移を図2に示す.積重数の増加に伴い,LSFLの周期は900-1000nmから約600nmへと小さくなるのに対し,HSFLの周期は200-300nm程度で積重数に依らないことが分かる.この傾向は他の材料でも同様の結果が得られている12,13).また他機関からも,レーザパルスの積重により材料表面での電子状態や熱分布が変わるため,LIPSSの周期が変わることが報告されている14). レーザ照射したSiC基板の表面SEM像 LIPSS周期の変化(SiC) 450fsから1nsのパルス幅のレーザで形成したLIPSS及び2.5nsのパルス幅のレーザ照射領域の,SEM像とTEM像を図4に示す.パルス幅が450fsのレーザで形成したLIPSSは,基板から原子配列乱れのない結晶質を維持しており,この詳細については過去に報告している15).0.9~10psのパルス幅では,結晶質は維持しているものの,LIPSS内部において局所的な電子回折分布が発生していることが分かる.500ps~1nsのパルス幅では, TEM像で黒く見えるLIPSSの凸部に相当する領域は結晶質を維持しているのに対し,その周辺は10~40nmサイズの結晶粒子の集合である多結晶状態であった.さらに,LIPSS次に,レーザのエネルギーフルエンスが与える影響を調べた.レーザパルス幅が0.9ps及び<10ps,パルス積重数が50パルスにおいて,レーザエネルギーフルエンスが2.0~6.3J/cm2のときのそれぞれの表面SEM像を図3に示す.ここで,2.0J/cm2はこの条件下においておおよそLIPSSを形成し始めるレーザエネルギーフルエンスに相当する.SEM像から分かるように,いずれの条件においても約750nm周期のLSFLと約200nm周期のHSFLを形成しており,その周期や形状状態に大きな違いは見られなかった.この結果から,LIPSSの形状や周期へのレーザエネルギーフルエンスの影響は小さいと言える. 形成したLIPSSの表面SEM像(SiC) SiC-LIPSSの結晶状態変化 − 415 −
元のページ ../index.html#417