助成研究成果報告書Vol33
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図3. 黒色に塗装された木材(松)に対してCWレーザーを掃引速度 (a) 4,500 mm/s、(b) 2,250 mm/s、(c) 1,125 mm/s、(d) 450 図4. (a) 塗装木材試料の照射中、 (b) 同照射後、(c) 錆びmm/s、(e) 225 mm/sで照射した結果.。レーザースポット径は約1 mm。 (a) 洗浄後の原板、(b) サビ-X処理後の試料. 図3に黒色に塗装された木材(松)に対して154 WのCWレーザーを掃引速度 (a) 4,500 mm/s、(b) 2,250 mm/s、(c) 1,125 mm/s、(d) 450 mm/s、(e) 225 mm/sで照射した結果を示す。レーザースポット径は約1 mmであった。掃引速度が遅い場合は木材の炭化が見られている。塗装除去としては不適切な条件であるが、外壁材として用いられている「焼き板」作りに使えるかもしれない。一方で、掃引速度が早すぎると塗装の除去が不完全となる。往復掃引の場合はビームを折り返すところで顕著な加減速が生じるために、照射領域の両端で母材表面に掃引の痕がくっきりと観察されている。いずれにせよ、最適な条件を選ぶことにより、下地の材料を再利用可能な状態で塗膜の除去を行うことができる。 3・2 鋼板の錆取り 興味深いことに、図3 (c)と全く同じ条件で錆び付いた鋼板にレーザーを照射すると、サビを除去できることが確認された。図4に、(a) 塗装木材試料の照射中、 (b) 同照射後、(c) 錆びた鋼板の照射中、(d) 同照射後、の表面写真を示す。照射中の様子を比較すると、木材の場合は炎が吹き上がり(図4(a))、鋼板の場合は火花が飛び散って(図4(c))表面の除去が進行している。 た鉄板の照射中、(d) 同照射後、の表面写真. 前節と同様に、鋼板に対しても照射パワー一定で掃引速度を変化させた時の様子を観察することにした。過剰照射すると、木材は炭化が発生するが、鋼板の場合は酸化が起きると考えられる。図4(d)の試料は“たまたま実験室にころがっていた”錆びた鋼板であったが、パラメーターを変化させて比較するためには、ある程度性状が揃った試料を複数枚用意する必要がある。そこで、50 mm × 100 mmの鋼板(3.2 mm厚)の表面をショットブラストで処理した後、中性洗剤で洗浄し油分を除去し、その後サビ発生促進剤(サビ-X)に浸して試料を作成した。図5に、(a) 洗浄後の原板、(b) サビ-X処理後の試料の写真を示す。サビ発生促進剤により板全面にわたり赤サビを発生させている。 図5(b)に一例を示した錆び付き鋼板に対して250 WのCWレーザーを掃引速度 1,500 mm/s〜150 mm/sの範囲で照射した結果を図6示す。図6 (a), (b), (c)の段はそれぞれ、照射直後、1日後、10日後の試料写真である。また、各段の (-1), (-2), (-3), (-4)はそれぞれ、掃引速度1,500 mm/s、750 mm/s、(c) 300 mm/s、150 mm/sで照射した結果を示す。レーザースポット径は約1 mmであったので、照射強度は3.2×104 W/cm2、各段の (-1), (-2), (-3), (-4)に対応した照射フルーエンスは、21 J/cm2, 42 J/cm2, 105 J/cm2, 210 J/cm2に相当する。 照射フルーエンスが低いと照射直後にはサビが除去できたように見えるが、一日で赤サビが再発生している。一方、フルーエンスが高いと10日後でも変化が見られず表面が安定している。おそらく、高フルーエンス照射時には表面が瞬時に酸化し黒サビが発生しているものと考えられる。また、赤サビの再発生(言い換えれば、黒サビが発生していない)と黒サビの発生を分けるフルーエンスのしきい値のようなものが40 J/cm2近辺にあるものと推察される。今後は、酸化膜の厚みや表面状態が塗装に与える影響等を調べて行く必要があると思われる。 図5. サビ取り実験用鋼板(5 mm×10 mm×3.2 mm): − 390 −

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