助成研究成果報告書Vol33
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図2. (a) 塗装前の木材(松)の表面、(b) 塗装後の表面、(c) キーワード:レーザー加工,ファイバーレーザー,インフラ構造物,土木・建築 3.実験結果 3・1 木材の塗装除去 1.研究の背景と目的 図1. 実験配置図 近年、ファイバーレーザーの高出力化と共に高輝度化が進み、連続波(CW)であっても104〜105 W/cm2の照射強度を容易に実現することが可能となってきている。従来は加熱用光源としてのCWレーザーであったが、高輝度ファイバーレーザーはアブレーションを伴う除去加工用光源としても使うことができるようになり、その利用範囲を拡大しつつある。 また、ビームデリバリーに関わる周辺機器も取り扱いやすく高性能なものが開発され、50,000 mm/sの掃引速度を可能とするガルバノスキャナが市販されている。このような高速掃引を利用すると、CWレーザーであっても試料に対してパルス的なレーザー照射を行うことができる。例えば、直径1mmのスポットを10,000 mm/sで掃引すると、試料が感じるレーザー照射時間は100 sとなる。見方を変えれば、CWレーザー光とガルバノスキャナを組み合わせ、掃引速度を変えることで試料に照射するフルーエンスを幅広く変化させることができると言える。先の例では、レーザー出力100 Wに対して照射フルーエンスは100 W×100 s ÷ 1mmΦ から、約1.3 J/cm2 に相当することになる。 さらに、ファイバーレーザーの堅牢性は屋外での利用に適しており、土木・建築現場での活躍が期待される。これまでも建築用部材へのレーザー加工はkW級炭酸ガスレーザーやYAGレーザーを用いて試されてきたが1-6)、最近のレーザー光源とその周辺機器の性能向上により新たな局面を迎えようとしている。 このような背景から、本研究では土木・建築分野におけるインフラ構造物の代表である木材、鋼板、コンクリートを対象として、レーザー加工の適用性を調べることを目的として実験を行った。 レーザー技術総合研究所 レーザープロセス研究チーム (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017233) 主席研究員 藤田 雅之 2.実験方法 用いたレーザーはフジクラ社製CWファイバーレーザー(FLC-300-A)で、主な仕様は最大出力300 W、波長1095 nm、M2<1.3である。図1に実験配置を示す。コリメータから出射されたレーザー光(ビーム径5mmΦ)を焦点距離1000 mmの平凸レンズを用いて集光し、YEデータ(現:安川コントロール)社製ガルバノスキャナを用いて試料上に掃引照射した。 レーザーおよびガルバノスキャナはパソコンで制御され、レーザーパワー、レーザーのON/OFF、掃引エリアの設定、掃引速度、ハッチ間隔等、自在に設定することが可能となっている。 まず、木材の塗装除去を紹介する。いわゆる、レーザークリーニングである。図2(a)に塗装前の木材(松)の表面、(b)に塗装後の表面を示す。この塗装面にスポット径2 mmΦで154 Wのレーザー光を集光し、掃引速度2,250 mm/sで20 mm角の領域を照射した。照射強度は約5 kW/cm2、試料が受けた照射パルス幅は約0.9 ms、フルーエンスは3.4 J/cm2に相当する。図2(c)に照射時の様子を示す(30 fpsの動画の一コマ)。炎が吹き上がって塗膜が除去されている状況が確認できる。図2(d)に照射後の表面を示す。図2(a)と比べると若 干着色が見られるが、極端な炭化は起きていない。 レーザー照射中の様子、(d) レーザー照射後の表面。 − 389 −インフラ構造物へのレーザー加工適用性の研究

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