mmである.試料で回折したX線を,試料裏面に配置された2次元CCD検出器で検出することにより,透過ラウエ回折像を取得した.レーザー誘起衝撃波発生用のポンプ光には,レーザー強度1 J/pulse,パルス幅10 ns,波長1064 nmのNd:YAGレーザーおよび,レーザー強度16 J/pulse,パルス幅12 ns,波長1064 nmのNd:ガラスレーザーを用いた.実験配置上,レーザー照射軸はX線照射軸から15°傾けられているが,レーザー照射面および照射中心はX線パルスのそれと一致するよう調整されている.レーザーの集光経はX線照射サイズより大きい500 μmとした.本研究では2種類の材料を対象に実験を行った.1つは純アルミニウムであり,一般的な多結晶金属材料におけるレーザーアブレーションに伴う塑性変形進展の評価を目的とした.もう1つは,CaF2単結晶であり,衝撃波伝播方向と結晶方位の関係が変形過程に与える影響を評価することを目的とした.尚,単結晶試料の入手性,リファレンスとなる単結晶バルク体の衝撃圧縮データの存在[5]などの理由から,単結晶実験の試料としてCaF2を選定し,(100)および(111)にそって切り出されたもの(以後それぞれCaF2[100],CaF2[111]と表記)を使用した.いずれの試料も形状は5-mm角の板状であり,厚みは純アルミニウム試料では50 μm,CaF2試料では100 μmである.CaF2試料では,試料のレーザー照射面側にアブレーターが必要となるため,1 J/pulseのレーザー照射時には6-μm厚のアルミニウム箔を,16 J/pulseのレーザー照射時には25-μm厚のPETフィルムを用いた.各アブレーターにレーザーを集光照射することによりアブレーションさせ,その反作用として衝撃波を試料内部に伝播させた.いずれの実験においても,図1 PF-AR NW14A ポンプ・プローブ型時間分解X線回折・散乱測定システム 厚み方向に対して十分に広い領域に平面衝撃波を伝播させることにより,マクロには1軸ひずみ圧縮状態が達成される条件とした. 3.研究成果 3・1 レーザー誘起衝撃波による純アルミニウムの微細構造変形過程[6] 本実験で用いたアルミニウム箔材の初期微細構造をEBSDにより調べた.その結果,結晶粒に配向は見られないこと,結晶粒径は数十μm~100 μmの範囲で分布していることが分かった.図2(a)にレーザー照射前の試料で測定された透過X線回折像を示す.多結晶試料であるため,X回折像はDebye-Scherrerリングを形成していることが分かる.回折リング内に確認される回折スポットは,それぞれ試料内における比較的大きい結晶粒からの回折点である.Debye-Scherrerリングを形成している回折面は,内側から(111), (200), (220), (311)である.図2(b)に1 J/pulseのレーザー照射後30 nsに取得されたX線回折像を示す.レーザー照射前の回折像と比較し,Debye-Scherrerリング内の回折スポットの数が減り,アジマス方向(円周方向)にブロードな回折像が新たに現れることにより,スムーズに連続したリングパターンを形成していることが分かる.回折像のブロードニングは,レーザー誘起衝撃波により試料内に生じる転位ネットワークやサブグレインの形成,結晶粒の微細化および回転といった塑性変形プロセスに起因するものと考えられる.そこで,回折ピーク形状の時間変化を基に,試料に生じたひずみ量や結晶粒の微細化に関しての定量評価を試みた. − 382 −
元のページ ../index.html#384