図12 溶接後の試験片外観および断面 図10 断面観察結果 図11 溶接金属充填率・融合不良率計測結果 3・3 2ビーム照射による板厚50mmでの検討結果 4.まとめ 図3および表3に示したように,幅の広い固定照射ビームと幅の狭い揺動照射ビームとを組み合わせることで,2台の6kW高出力半導体レーザとホットワイヤとを組み合わせ,板厚26mmおよび板厚50mmの高張力厚鋼板の1パス縦向き溶接を検討した.得られた成果の概要を以下に示す. (1)板厚26mm,開先幅10mmのI形突合せ継手に対して,6kW半導体レーザ発振器とホットワイヤシステムとを組み合わせることで,エレクトロガスアーク溶接法と同程度の施工能率で,低入熱・低変形な1パス立向き溶接を実現することができた. (2)開先壁面近傍への入熱を大きくして母材溶融を促進するために,ビーム幅を狭くしてエネルギー密度を高め,図12に,溶接後の試験片外観および断面観察結果を示す.左側に示す試験片外観を見ると,非常に安定したビー(ビーム揺動条件の影響,板厚26mm) (ビーム揺動条件の影響,板厚26mm) ドが試験片両側に形成されており,欠陥等も観察されなかった.本実験では試験片の強固な拘束は行わなかったが,面外変形は非常に小さかった.右側に示す断面写真を見ると,ワイヤ送給側と反対側で溶融幅が少し異なるものの,開先両面の板厚方向全体にわたって,融合不良等の欠陥の無い安定したビードが得られていることがわかる.当該断面写真から計測した希釈率は17%であり,現在適用されているエレクトロガスアーク溶接やエレクトロスラグ溶接に比べて,大幅に低下させることができている.また熱影響部(HAZ)幅も13mmと,エレクトロガスアーク溶接やエレクトロスラグ溶接に比べて,低下させることができている. 溶融池の安定した形成・維持と開先壁面近傍への効果的なレーザ照射による母材溶融の促進が実現できたと考えられる. 当該部でのレーザ照射時間を長くするビーム揺動条件を選定することが必要である.一方,開先内の溶融池を安定して形成・維持しつつ,急激な温度低下を防止するためには,開先幅に対して適切なビーム幅を選択する必要がある. (3)板厚50mm,開先幅10mmのI形突合せ継手に対して,8×51mmの矩形ビームの定常照射と2×56mmの矩形ビームの揺動照射とを組み合わせることで,総出力12kWの比較的低いレーザパワーで,開先全面での安定した溶融池形成と十分な母材溶融を実現することができた. (4)適正なレーザビーム形状,レーザビーム照射条件,ホットワイヤ送給条件を適用することで,低入熱,低希釈で融合不良の無い,良好な継手を得ることができた. − 379 −
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