助成研究成果報告書Vol33
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図4 溶接中の可視化画像の模式図と撮影例 図8に,図7に示した各条件の継手断面において計測した板厚方向のビード幅分布を示す.溶接スタート位置から50mmおよび70mmの位置の2断面での計測結果を示している.(a)に示すビーム幅が広くエネルギー密度の最も小さい固定照射の条件では,試験片両表面近傍に大きな図5 溶接中の可視化画像 図6 溶接中の輝度分布 図7に,継手の水平断面観察結果を示す.全ての条件において,レーザ照射側(写真上側)では溶接金属が完全に図9に,エネルギー密度および開先幅(WG :10mm)に対するビーム幅(WL)の割合(WL/WG)とビード幅ならびに融合不良率との関係を示す.ビーム幅を広くしてエ(ビーム幅・揺動照射の影響,板厚26mm) (ビーム幅・揺動照射の影響,板厚26mm) 3・1・2 断面観察結果 充填しておらず,ワイヤ送給側では十分な溶接金属が形成されている.ビーム幅が広くエネルギー密度の最も小さい固定照射の条件では,ビーム幅が狭くエネルギー密度の大きい揺動照射の条件に比べて,ビード幅が狭く,開先に沿ったビードが形成されている.一方,ビード幅4mmとして揺動照射を適用した条件では,他の条件に比べてビード幅が広く母材溶融量が大きいことがわかる. 融合不良が確認された.板厚中央部においても母材溶融量(溶込み)は非常に小さく,最大でも1mm(片側0.5mm)程度であった.一方,(b)に示すビード幅4mmあるいは(c)に示すビード幅2mmの揺動照射を適用した条件では,固定照射の条件に比べてビード幅が広く母材溶融量が大きいことがわかる.また融合不良も溶接スタート位置から70mmの断面においてレーザ照射側の狭い範囲でのみ確認された.さらに,ビード幅4mmでは2mmの場合に比べてエネルギー密度が1/2と大きく低下しているにもかかわらず,母材溶融量(溶込み)が大きくなっている.これは図6に示したように,開先幅(10mm)に対してビーム幅を狭くしすぎるとレーザ照射と反対側の開先壁面近傍の温度が急激に低下する一方,開先幅に対してある程度のビーム幅を維持した場合には,当該部の温度低下が抑制できるためであると考えられる. ネルギー密度を小さくしすぎると,開先壁面近傍での温度上昇が不十分となり融合不良率が大きく上昇する.一方,開先幅に対してビーム幅を狭くしすぎると,エネルギー密度は大きくなりレーザ照射側の開先壁面近傍の温度は比較的上昇しやすくなり,融合不良率は大きく上昇しないものの,レーザ照射されていない反対側の開先壁面近傍の温度は急激に低下し,母材溶融量すなわちビード幅が小さくなったと考えられる. 本溶接プロセスを効率的かつ安定的に実施するためには,溶融池の温度が急激に低下しないように保ちつつ,開先壁面近傍への入熱が大きくなるようにエネルギー密度をできるだけ高める必要があることが明らかになった. − 377 −

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