図1 試験片形状・寸法 図2 実験システム概略図(1ビーム,板厚26mm) 図3に,板厚50mmの試験片に対する実験システムの概略図を示す.板厚26mmでの検討時と同様に,2枚の母材鋼板を隙間(開先)を設けて水冷銅板上に設置した.2台の半導体レーザ発振器によって2つのレーザビームをそれぞれ形成して,総出力12kWの条件で1パス立向き溶接を検討した.片方のレーザビームは固定照射とし,1.研究の目的と背景2.供試材料および実験条件キーワード:高出力半導体レーザ,ホットワイヤ,厚鋼板,1パス立向き,矩形ビーム近年,大型船舶建造分野では,高能率・高品質(低変形・低入熱)溶接技術として有望なレーザ溶接技術の導入が強く期待されている.大型船舶では20mmを超える板厚の鋼板が主に使用されており,特に大型コンテナ船では,重要強度部材に50mmを超える板厚の高張力・高靭性鋼板が適用されている1〜5).開先加工などはプラズマ切断およびガス切断で行われ,溶接長は20mに達する場合もある.これまでもレーザ・アークハイブリッド溶接の適用が検討されてきたが,開先加工精度,ギャップ裕度,板厚,溶接継手靭性,導入コストなどの問題で,板厚10mm程度以下の極限られた範囲での適用にとどまっている. 著者らは,長年,ホットワイヤ法を用いた高能率・高品質溶接技術の開発を行ってきた6〜8).近年は,アーク熱源に比べてより精密な入熱制御,さらなる低入熱化・高能率化が期待できる,レーザ熱源との組み合わせを検討してきた.厚鋼板1パス立向き溶接技術に関するこれまでの研究では,板厚28mm程度までの供試材料に対して,高出力半導体レーザとホットワイヤ法とを組み合わせた溶接プロセスの実現に注力してきた9〜10).本研究では,まず6kW高出力半導体レーザを用いて,ビーム形状・寸法の適正化,ビーム揺動照射条件の適正化および反射レーザ光による溶融現象の解明を実施した.さらに,2台の6kW高出力半導体レーザを組み合わせて総出力を12kWとし,板厚50mmの極厚鋼板に対して本プロセスが適用可能か検討した.板厚に対して比較的低出力のレーザではあるが,レーザビーム形状およびエネルギー分布制御などを適正化することで,本プロセスが適用可能かを調査した11〜12). 2・1 供試材料 母材には,板厚26mmおよび50mmの造船用高張力鋼板を用いた.図1に示すように,試験片寸法は幅50mmあるいは100mm,高さ200mmとし,当該試験片2枚を幅10mmの隙間(開先)を設けて突合せて設置し,立向き溶接を実施した.添加ワイヤには,直径1.6mmの高張力鋼板用ワイヤ(JIS Z 3325 YGL2-6A (AP) ,JIS Z 3312 G78A4UMN5C1M3T)を用いた. 広島大学 大学院 工学研究科 (平成29 年度 一般研究開発助成 AF-2017230)教授 山本 元道 2・2 実験方法 図2に,板厚26mmの試験片に対する実験システムの概略図を示す.まず2枚の母材鋼板を隙間(開先)を設けて水冷銅板上に設置し,隙間(開先)を含む母材鋼板側面に水冷銅板を両側から軽く押し当てる.1台の半導体レーザ発振器によって任意のレーザビームを形成して試験片上方から照射しつつ,水冷銅板上に設置した試験片を降下させることによって,1パス立向き溶接を再現した.レーザ照射条件の影響を検討するために,固定照射および揺動照射を適宜適用した.もう片方のレーザビームは揺動照射とした.ホットワイヤは,側面の水冷銅板片側に送給用の穴を加工して送給した.シールドガスは,両側の水冷銅板内に加工した穴を通じて開先内の溶融池上部に供給した.試験片上方に小型高速度カメラを設置し,開先内での溶融池形成状態やホットワイヤ送給状態を観察した.− 375 −高出力半導体レーザとホットワイヤ法とを組み合わせた 極厚鋼板1 パス縦向き溶接技術の開発
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