図4に,アルミナ多孔質基板を用いたLLH法により作製したガラス微小球のEu3+の発光スペクトルを示す.ガラス微粉ではEu3+の5D0→7Fj (j=0,1,2) 遷移に基づくブロードな発光のみが見られた(図4には5D0→7F2の発光ピークのみ示した).一方,ガラス微小球からの発光には,Eu3+の発光ピークの上に非常に鋭いピークが周期的に並んでいる.このピークの間隔は10.3 cm-1(3.9 nm)であった.WGMのモードスペーシングをガラスの屈折率(2.0)と直径(180µm)から計算すると10.5 cm-1であり,これらの鋭いピークはWGM光共振によるものであることがわかる.また,ピークが極めて鋭いことから,このガラス 3・2 得られたガラス球の光共振特性の評価 微小球は,理想的な球形状に近いことが推測される.これは,水を含む多孔質基板上でガラス微粉をレーザー加熱することにより非接触でガラスが成形されたことによるものであると考えられる. 4.まとめと今後の展望 本研究では,連通孔を有するアルミナ多孔質を基板材料とし,その上でガラスをレーザー加熱することでガラスを非接触で成形するための基礎技術を開発した.細孔径74nm,気孔率40%のアルミナ多孔質基板に安定的に水分を供給しながら,基板上のガラス微粉をレーザーにより局所加熱することで,ガラスが軟化し球状化した.100から500µmのガラス球が得られ,ガラス球からの発光スペクトルにはWGMに基づく光共振ピークが確認された.これは,ガラス球が高い真球性を有していること示している.研究期間を通して,レーザー照射条件,多孔構造およびガラス組成など複数のパラメータを調整し続けることで,安定して非接触状態を形成できる条件を見出すことができ謝 辞 参考文献 た.これらの事実は,本手法が,将来的にガラスの非接触モールド成形技術へと展開できる可能性を示唆するものであり,今後の発展が期待される. 本研究の実施に際し,公益財団法人天田財団より一般研究開発助成(AF-2017228)を賜りました.厚く御礼申し上げます. 多孔質材料の作製と最適化には,東京工業大学物質理工学院・材料系,磯部敏宏先生にご協力いただき,共同で研究を進めました.深く感謝申し上げます. 1) A. Masuno, H. Inoue, J. Yu, and Y. Arai, J. Appl. Phys., 108, 1–5 (2010). G. A. Rosales-Sosa, A. Masuno, Y. Higo, H. Inoue, Y. Yanaba, T. Mizoguchi, T. Umada, K. Okamura, K. Kato, and Y. Watanabe, Sci. Rep., 5, 15233 (2015). Y. Shimotsuma, K. Hirao, J. Qiu, and K. Miura, J. Non. Cryst. Solids, 352, 646–656 (2006). T. Komatsu, J. Non. Cryst. Solids, 428, 156–175 (2015). T. Kishi, T. Kumagai, T. Yano, and S. Shibata, AIP Adv., 2, 042169-1–5 (2012). T. Yano, T. Kishi, and T. Kumagai, Int. J. Appl. Glas. Sci., 6, 375–386 (2015). T. Kumagai, T. Kishi, and T. Yano, J. Appl. Phys., 117, 113104 (2015). G. Kojima, New Glas., 21, 22–26 (2006). T. Isobe, N. Yamamoto, and A. Nakajima, Powder Technol., 214, 99–104 (2011). T. Isobe, A. Ooyama, Y. Kameshima, A. Nakajima, and K. Okada, Powder Technol., 200, 25–29 (2010). T. Isobe, M. Shimizu, S. Matsushita, and A. Nakajima, J. Asian Ceram. Soc., 1, 65–70 (2013). 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 11) − 368 −
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