助成研究成果報告書Vol33
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振の評価に向けた発光スペクトル測定のために,典型的な赤色発光を示すEu3+イオンを共添加した.レーザー照射中の試料の形状変化を水平方向から高速度カメラにより観察した. 2・2 アルミナ多孔質基板の作製 モールドに用いる多孔質基板材料には,水を安定的に保持できること,高温の水蒸気に暴露されても形状が安定的に保たれていること,加熱用レーザー光を吸収しないこと,が求められる.これらの条件を満足する基板として本研究では,アルミナ多孔質材料を用いた.アルミナは,連通孔を有する多孔質化が可能で,高い耐熱性・機械的強度・化学的耐久性を有し,紫外から中赤外域まで透明な材料であり,本研究の多孔質基板として最適な材料の一つと言える. 平均粒径約150 nmのアルミナ粉末(大明化学工業,DM-DAR)と0.62 mass%のポリアクリル酸アンモニウム(セルナD-305,中京油脂),70 vol.%の蒸留水を加え撹拌した後,公転速度2000 rpm,自転速度800 rpm,2 minの条件で撹拌した9,10).得られたスラリーを鋳込成形法で直径約16 mm,厚さ約1 – 3 mmに成形した.その後,大気下1000 ºCで1時間焼成し,有機成分を除去した.得られた多孔質の平均細孔径および気孔率を水銀ポロシメーターで測定したところ,それぞれ74nmおよび40%であった11). 2・3 得られたガラス球の光共振特性の評価 作製したガラス球の真球性の確認のために,WGM光共振器としての性能を評価した.測定には,共焦点顕微レーザーラマン分光光度計(堀場製作所,XploRA PLUS)を用いた.波長532nmのCWレーザーで励起し,発光スペクトルを測定した. 3.実験結果 3・1 多孔質基板を用いたLLH法によるガラス球の作製 図3に水を含んだアルミナ多孔質基板上でレーザー照射したガラス微粉を水平方向から観察した連続写真を示す. 図3(a)のように粒径が100µm程度と小さい場合,レーザー照射後,ガラスは変形する前に浮上を開始し,空中で溶融・球状化した.その後,高速度カメラの視野の外へと弾き飛ばされたが,基板から出ることはなく回収することができた.粒径数百µmのガラス微粉(図3(b))では,たアクアフロート法8)に着想を得て,水を含浸した多孔質基板を用い,ガラスと基板の非接触状態を実現することを目指した.図1に本研究のコンセプトを示す.水を含んだ多孔質基板上にレーザー吸収イオンを添加したガラスを載せ,レーザーをガラスに集光照射すること加熱・液滴化する.多孔質から生じる水蒸気によりガラスと基板の間に水蒸気層が形成され,ガラスと基板の非接触状態が実現する.また,得られた球状ガラスの光共振を測定し,真球性を確認する. 2.実験方法 2・1 多孔質基板を用いたLLH法によるガラス球の作製 図2に多孔質基板を用いたLLH法の光学系を示す.水を入れたシャーレにアルミナ多孔質基板を設置し水分を気孔に含ませた.多孔質基板上にガラス試料を載せ,対物レンズを通して高出力CWレーザー(波長980nm,出力30W)を集光照射した.対物レンズ下でのレーザースポットは直径200µmで,出力は10Wであった.ガラス試料は溶融急冷法で自作し,粉砕・篩分けにより微粉として多孔質基板上に分散させた.ガラス組成は,10K2O-10WO3-80TeO2 (mol%)を用い,レーザー吸収イオンとしてYb3+を1mol%添加した.このテルライトガラス は,Tgが310 ºCで融点が600 ºCの低融点組成である.Yb3+は波長980nmのみに吸収を持ち可視域では透明である.また,球の光共− 366 −

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