図10より,全ての条件においてレーザ出力の増加に伴い,熱影響幅は増加していることが分かる.また,熱影響幅の増加値は,レーザ出力10~25Wにおいて0.06~0.1mmであった.これは,レーザ出力の増加に伴い,材料に作用 外しが必要であると考える. 3・3 ウィービング動作による溶融状態の比較 図7にウィービング速度300mm/min,ウィービング変位X+0.1mm,Y±0.1mmの実験結果(条件①),図8にウィービング速度300mm/min,ウィービング変位X+0.05mm,Y±0.1mmの実験結果(条件②),図9にウィービング速度350mm/min,ウィービング変位X+0.1mm,Y±0.1mmの実験結果(条件③)を示す. 溶融実験より,条件①,③では10W,条件②では9Wから金属板の溶融が始まった.また,条件①,③では17W,条件②では15Wを超えると加工音が生じ,徐々に金属板の蒸発が見られた.また,図5~7を比較すると,同一出力において条件②,条件①,条件③の順で溶融・蒸発現象が確認できる.各条件におけるテーブル速度は,条件①は3.5mm/s,条件②は2.2mm/s,条件③は4.1mm/sであり,テーブル速度が遅いほど,ある領域におけるレーザ照射時間が長くなる.前述したように,同一出力において条件②,条件①,条件③の順で溶融・蒸発現象が確認できる.これより,レーザ照射時間が長いほど溶融・蒸発現象が見られると考える.また,レーザ照射時間によって溶融・蒸発現象の過程は異なると考える. 3・4 ウィービング動作による熱影響幅の比較 図10(a)にウィービング変位Y±0.1mmでの各条件におけるレーザ出力と熱影響幅の関係,図10(b)にウィービング変位Y±0.15mmでの各条件におけるレーザ出力と熱影響幅の関係を示す. (1) 本研究で使用するレーザ装置は,焦点外し量-0.2~+0.2mmで金属板の溶融が可能である. (2) レーザ照射時間によって溶融・蒸発現象の過程は異なり,テーブル速度2.2mm/sでは9W,テーブル速度 3.5mm/s, 4.1mm/s では10Wから金属板の溶融は始まる. (3) レーザ出力の増加に伴い,材料に作用する熱エネルギーは増加し,熱影響幅は増加する. (4)得られた知見ならびに特許第6583771号を基に,CNC複合加工機に,この機能を実装し,金属ワイヤを供給しながら3次元造形が可能な工作機械の実用化を目指す. 1)吉⽥悠哉,森本喜隆,林晃⽣,「⾦属ワイヤ供給型3Dプリンタの開発」,電気加⼯学会全国⼤会2019. 2)吉⽥悠哉,森本喜隆,林晃⽣,「⾦属ワイヤ供給型3Dプリンタの開発」,⽇本機械学会北陸信越⽀部第57期総会・講演会,2020 3)特許第6583771号,⽴体造形装置,2019 1)京極秀樹,池庄司敏孝,“図解金属3D積層造形の基礎”,2) 日本塑性加工学会:粉末成形―粉末加工による機能と形3) 清水透:金属3Dプリンティングにできること-世界に一つだけのものづくり-,産報出版株式会社,(2016),pp.58-59. 4) 田中建:金属ワイヤ供給型3Dプリンタの開発,平成28謝 辞 参考文献 する熱エネルギーが増加したためだと考えられる.本研究では,ϕ0.2mmの金属細線(スズ細線)を使用し,溶融池の熱により溶融を行う.そのため,溶融池の幅は金属細線の直径以上が好ましいと考える.しかし,溶融池の幅が大きすぎると溶融・積層済みの金属細線に熱影響が及び,形状精度が低下する.これより,ウィービング動作のY方向の変位は±0.1mmが適切であると考える. 4. 結 言 本研究で得られた結論は以下の通りである. 本研究は,一部,公益財団法人天田財団平成29年度一般研究開発助成助成番号:AF-2017227の支援を受けました.記して謝意を表します. 日刊工業新聞社,(2017),p.22. 状のつくり込み―,コロナ社,(2018),p.83. 年度金沢工業大学修士学位論文,(2016),pp.1-44. (b) Weaving stroke Y±0.15 mm 本研究に関する研究業績 − 364 −(a) Weaving stroke Y±0.1 mm 図10 レーザ出⼒と熱影響幅との関係
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