助成研究成果報告書Vol33
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焦点外し量による溶融状態の比較実験では,図3に示すように金属板の上面を基準に上方向に+0.5mm,下方向に−0.5mmを上限とし,0.1mmずつ焦点を外して溶融実験を行った.表3に焦点外し量による溶融状態の比較実験の実験条件を示す. ウィービング動作による溶融状態の比較実験では,ウィービング速度およびウィービングの変位を変化させて溶融実験を行った.表4にウィービング動作による溶融状態の比較実験の実験条件,図4に実験の模式図を示す.図5に示すテーブル送り方向はウィービング動作中におけるテーブルの送り方向であり,ウィービング動作中における単位時間当たりのテーブル送り方向の変位をテーブル速度とする. 図4 2軸移動テーブルを用いたウィービング動作 表4 レーザ照射条件とウィービング動作条件 式では金属細線の溶融は確認できないが,直接照射方式では金属細線の溶融は確認できる.また,直接照射方式では金属細線の切断が確認できた.レーザ熱加工は,発熱した熱源の強度,照射時間などによって,材料は段階的に熱伝導現象の段階,溶融現象の段階,蒸発現象の段階などを経て蒸発に至る.このことから,直接照射方式では溶融現象の段階に留まらず,蒸発現象の段階まで進んでしまい,金属細線が切断されたと考える. 光ファイバ伝搬方式において金属細線の溶融が確認できなかった要因として,加工点におけるパワー密度の不足が考えられる.各方式のパワー密度の理論値は,光ファイバ伝搬方式は8.0×104W/cm2,直接照射方式は3.0×107W/cm2であり,光ファイバ伝搬方式は直接照射方式の1/375倍である.また,光ファイバ端面にはレーザによる損傷が見られた.これより,光ファイバ伝搬においてレーザ損失が生じていると分かる.このことから,加工点におけるパワー密度が理論値より低下し,金属細線の溶融に至らなかったと考える. 以上のことから,本研究では金属細線の溶融方式として,直接照射方式が適切であると考える. 3.金属板の溶融条件の検討 3・1 実験方法および実験条件 本研究では,金属細線を積層するにあたりベースとなるベースプレートの溶融に焦点を置き,金属板の溶融実験を行った.金属板の溶融実験では,焦点外し量による溶融状態の比較実験と,ウィービング動作による溶融状態の比較実験を行い,金属板(スズ板)の溶融状態を観察した.使用材料としてスズを選定した理由としては,融点が低く,レーザ出力や送り速度などの実験パラメータを大きく振れることや,酸化の影響を受けにくいこと,安価で入手しやすいことが挙げられる. 表2 溶融実験条件 (a) Optical fiber irradiation (b) Direct 図2 金属細線の溶融状態 irradiation 図3 焦点外し距離の定義 表3 レーザ照射条件と焦点外し距離 − 362 −

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