助成研究成果報告書Vol33
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キーワード:3Dプリンタ,ファイバーレーザ,金属細線供給 図1に本研究で開発した溶融・積層装置を示す.溶融・積層装置は大きく分けて,ベースプレート,金属細線を溶 1.研究の目的と背景 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017227) 従来の金属部品の製作は,鋳造や鍛造などの型を利用する変形加工や,切削加工や研削加工などの除去加工によって行われている.これに対し,近年,型を使わず必要な部分のみを付加して製品を製造する付加加工が注目を集めている.3Dプリンタでの積層は付加加工の一種であり,変形加工や除去加工では不可能な中空構造や一体成型の製作を可能とする.現在の3Dプリンタの金属積層造形には,主に粉末焼結方式とデポジション方式が用いられている(1).粉末焼結方式はステージ上に敷き詰めた金属粉末にレーザ照射することで造形する手法で,デポジション方式はレーザ照射と金属粉末の供給を同時に行うことで造形する手法である.しかし,各積層方式では積層材料として金属粉末を使用しているため,紛体爆発や作業者の金属粉末の吸い込みといった問題が懸念される.また,金属粉末を交換する際には,使用していた金属粉末を完全に除去する必要があるため,メンテナンス性が悪いといった欠点もある. これに対して本研究では,保守性の高い積層法として,レーザを用いた金属細線の溶融・積層法に着目する.本手法は,小径の金属細線を使用し,レーザ照射と金属細線の表1 レーザ発振器の仕様 図1 溶融・積層装置の概要 金沢工業大学 機械工学科 教授 森本 喜隆 供給を同時に行うことで,所望の形状の積層を行う.本研究では,積層装置の設計・製作と最適な溶融・積層条件の検討を行い,レーザを用いた金属細線の溶融・積層法の確立を目的とする. 2.レーザを用いた金属細線の溶融・積層法 2・1 溶融・積層装置 融させるレーザ装置,金属細線を供給するワイヤ送り装置,ベースプレートを移動させるX-Yテーブルの三つの要素からなっている.ワイヤ送り装置,X-Yテーブルの駆動にはOMRON社製の50WサーボモータR88M-K05030H-S2を使用する.また,コントローラにはNJ501-1500を使用しており,これらを制御するプログラミングソフトとしてOMRON製のオートメーションソフトウェアSysmac Studioを使用する.表1にレーザユニットの仕様を示す. 2・2 溶融・積層法 本研究で提案する溶融・積層法では,テーブル上のベースプレートにレーザを照射し,形成した溶融池に金属細線を供給させ,テーブルを移動させることで金属細線の溶融・積層を行う.また,テーブルの動作方法として,溶接分野で活用されているウィービング動作を用いる.これにより,ベースプレート表面に熱を溜めることができ,安定した溶融池の形成が行えると考える. 2・3 実験方法および実験条件 金属細線の溶融実験では,使用材料としてϕ0.2mmのスズ細線を使用した.使用材料としてスズを選定した理由としては,融点が低く,レーザ出力や送り速度などの実験パラメータを大きく振れることや,酸化の影響を受けにくいこと,安価で入手しやすいことが挙げられる. 本実験では,前節で述べた溶融・積層装置を用いて金属細線の溶融可否を確認した.表2に金属細線の溶融実験の実験条件を示す. 2・4 実験結果 図2(a)に光ファイバ伝搬方式の実験結果,図2(b)に直接照射方式の実験結果を示す.両図より,光ファイバ伝搬方− 361 −金属細線供給型3次元積層技術を用いた 精密造形加工システムの開発

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