上昇とともに増加する.中心部の最高温度は,レーザ出力2.2W, 3.0W, 3.7Wでそれぞれ約120, 170, 210℃である.2.2Wでは,Ni析出がごくわずかであることから,Ni析出温度のしきい値は,おおよそ170℃以上(レーザ出力3.0W)であると考えられる.これは,温度分布と析出物分布から考察した温度域とほぼ一致する. Fig. 5 レーザ出力3.7 WのNi 析出物の断面曲線3) Fig. 6 レーザ照射部付近の温度分布(ロッドなし) Fig. 7に,レーザプレーティング(ロッドなし)を行ったときのNi析出量とレーザ出力および基板の最高温度の関係を示す.Ni析出量は,レーザ出力および基板温度のNi析出時の基板温度が約160~200℃であるとすると, PVCの融点に近い温度まで基板温度が上昇していることになる.Fig. 4のレーザ照射部のSEM像より,PVCの一部は変形しているものの,変形したPVC基板上にNiが析出している.このようにNi析出が可能な理由としては,PVC が溶けきる前にNiが析出し, PVCを保護していることが考えられる. Fig. 7 レーザ出力ごとの照射時間300秒のNi 含有量(ロッドなし)3) Fig. 8 レーザ出力3.7Wにおけるデフォーカス量に対する温度変化 3-2 めっき液中のレーザ伝搬長の影響 Fig. 8に,各伝搬長におけるデフォーカス量に対する温度変化を示す.焦点における最高温度は,伝搬長が短くなるほど上昇し,レーザ出力3.7W,伝搬長1 mmで218℃に達した.波長980nmのレーザ光が無電解ニッケルめっき液を10mm伝搬するときに,約50%程度減衰することから,伝搬長が短いほど温度が上昇することになる. 各伝搬長において,5mmほどデフォーカスすると,10%ほど最高温度が低下する.伝搬長2 mm以下であれば,5mmほどデフォーカスしても,基板温度は約190℃であり,Ni析出が可能だといえる. 伝搬長がほぼ同じ条件において,ロッドなしに比べて,ロッドありで基板温度の低下が見られた.ロッドなし伝搬長3~5mmの条件とロッドあり伝搬長1mmの条件で,基板温度はほぼ同等であった.20mmの石英ロッドでの減衰は4%と見積もられ,それほど大きな減衰ではないこ− 343 −
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