KIa0 キーワード:脆性材料,ガラス,熱応力,き裂誘導,割断加工,応力拡大係数 2c22c222FPkI1z図1 レーザスクライブ加工の概略図 図2 セナルモン法による縦き裂と水平き裂の観察 図3 半無限き裂内面に力FPが作用するクラックモデル 1.研究の目的と背景 脆性材料であるガラスは,建物や自動車の窓ガラス,テレビやスマートフォンのディスプレイなど様々な分野で利用されている.現在,ガラスの割断には,図1に示すような,レーザ照射直後を水冷し,表面き裂(スクライブ)を誘導して割断するレーザスクライブ加工が主流である.この加工法は,切りしろがなく,割断面が鏡面となるなどのメリットがある.しかし,水冷を伴わない場合,加工速度が極端に遅く,水冷を用いることで速度は飛躍的に向上するが,電子デバイスと一体になっているものには向かないことや,ウォーターマークが残るなどの欠点が存在する. 一方,本研究室で行っている鏡面溝加工の研究1)において,セナルモン法を用いてき裂先端形状を底面側から観察したところ,図2のように溝を生成する水平き裂よりも前方に,縦き裂が先行している様子2)が確認された.これは,加熱時の引張応力によるものと考えられ,この現象を利用することで,高速で水冷の必要がない新しい割断技術になると考えた. そこで本研究の目的は,この現象の発生メカニズムを解明し,高速で水冷工程のない新しい割断加工技術の開発を行う. 2.理 論 佐世保工業高等専門学校 機械工学科 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017220) 准教授 森田 英俊 3.実験と解析 本現象はレーザ誘起熱応力により,き裂を誘導することで発生していると考えられる.そこで,本研究では加工成立時の条件でFEMによる熱応力解析を行い,その後,応力拡大係数KIを求めることで,メカニズム解明を行う.つまり,応力拡大係数KIがガラスの破壊靭性値KICを超える領域が,き裂が開口できる条件であるので,これを満たす領域を求めることで,本加工の成立条件が予測可能である.そのため,ここでは,半無限き裂の内面に力が作用する場合のクラックモデル(図3)を用いてKIを求める.ここで,FPは半無限クラックの内面に作用する集中力,cはき裂先端からFPまでの距離である.ここでdcは,き裂先端から熱源中心までの距離である.この時の応力拡大係数kIは(1)式のようになる3). ここで,FP=(z)dzとすると,微小長さdzにおける応力拡大係数dKIは,以下の(2)式のようになる. よって,これをき裂長さaで積分すると,(3)式のようになる. この式に,FEMで求めた応力を代入し,台形法によって数値積分することでKIを求めた. ウォータジェットき裂レーザ走査方向冷却領域加熱領域ガラスdKIzdz() zdz()(1) (2) (3) − 332 −脆性材料内部を進展するステルスき裂を利用した 高速非接触ドライ割断加工技術の開発
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