キーワード:機能性材料,レーザ蒸着,二酸化炭素 る4)。本研究では、二酸化炭素による「優しい酸化雰囲気」 酸素 窒素 二酸化炭素 図1 レーザー蒸着法による成膜。 1.研究の目的と背景 2.実験方法 酸化物の成膜では酸素欠損を防ぐために酸素雰囲気での成膜がスパッター法やパルスレーザー蒸着法で行われている。ダイアモンドの成長なども酸化雰囲気中でのレーザー蒸着(PLD)法の報告がある1)。同じ炭素系材料であるグラフェンは、シリコンの100倍の移動度や鉄鋼の200倍の強度を示すことで様々な応用が期待されている。その薄膜化には触媒が必要であり、高い成膜温度も必要である。著者らは酸素雰囲気でのグラフェン成長を試みたが、平坦な膜の成長は確認できなかった。 人の呼気にも含まれる二酸化炭素は安定なガスと思われるが、古くから酸化剤として働くことも知られている。1864年の論文2)が著者らが見つけた最古の出版物である。二酸化炭素は基板温度の制御により、酸化剤として振る舞うことで「優しい酸化雰囲気」を提供する。これまでに、酸素雰囲気中での各種機能性材料の合成を行っている表I レーザー蒸着法による成膜条件 雰囲気ガス レーザー波長 繰り返し周波数 エネルギー密度 ターゲット 基板間距離 基板 基板温度 成膜時間 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所 電子技術部 グループリーダー 金子 智 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017219) 3,4,5)が、本研究では酸素に代わり二酸化炭素を用いる成膜法により、グラフェンの成長を試みている。更に、炭素系膜だけではなく、「優しい酸化雰囲気」での酸化マグネシウム(MgO)の合成も目指した。酸素雰囲気でのMgOの格子定数の収縮を確認している。酸素雰囲気での格子収縮については、第一原理計算により欠陥による影響を指摘していでの成膜を行い、更に、東北大大学流体研究所との共同研究により、各種機能性材料の成長における安定性について、理論的な考察を進めている。 2・1 成膜の概要 図1に、実験に用いたPLD成膜装置の概要を示した。本実験では、酸素・窒素・二酸化炭素をそれぞれチャンバーに導入して各種雰囲気での成膜を行った。レーザー光源にはYAGレーザーの4倍波(266nm)を繰り返し周波数2Hzで用いている。YAGレーザーのオシレーターの発振は10Hz酸素、窒素、二酸化炭素中での成膜を行った。 − 328 −二酸化炭素を用いた優しい酸化雰囲気での レーザ蒸着法による成膜 ~400 mTorr 400 mTorr ~400 mTorr 266 nm 2 Hz* ~ 2 J/cm2 MgO, HOPG (highly oriented pyrolytic graphite) 20 ~ 30 mm Si, MgO, Sapphire, SrTiO R.T. ~ 750°C ~30 min HOPG ~30 min MgO
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