図6 レーザ照射の様子 図7 レーザ照射時間0.01 msでの加工後のマイクロスコープによる観察結果 (a)陽極酸化処理なし (b)陽極酸化処理あり 3・2 レーザ照射 図6には,膜厚10μmの陽極酸化処理を行ったAZ91D合金へのレーザ照射の様子を示す.破線で囲まれた部分にレーザが照射されている.レーザ照射時間が0.01 msよりも短い場合,照射部の外観に大きな変化は認められなかった.しかし,レーザ照射時間が増加するにつれ,レーザ照射痕が形成された.図7には,陽極酸化処理有無の試験片に対して,レーザ照射時間0.01 msの条件でレーザ照射した表面をマイクロスコープによって観察した結果を示す.陽極酸化未処理の表面では僅かなレーザ照射痕が認められる一方,陽極酸化処理を行った試料の表面では,規則正しい図8 陽極酸化未処理の研磨面へのレーザ照射部のSEM像 (a)レーザ照射時間:0.01 ms (b):0.05 ms (c):0.1 ms (d):0.5 ms 照射痕が形成されていた.このように同じレーザ照射条件下であるにもかかわらず,試験片に形成された照射痕は,陽極酸化処理の有無によって大きく異なった. 図8には,未処理の研磨のままのAZ91D合金へのレーザ照射後のSEM像を示す.図には示していないが,レーザ照射時間が0.01 msよりも短い場合にはレーザ照射による試験片の変化は認められなかった.照射時間0.01 msでは,僅かな加工痕が観察されるが,ディンプルは形成されない.照射時間の増大に伴い,ディンプルが形成され,その深さが増大した. 一方,陽極酸化処理したマグネシウム板へのレーザ照射後のSEM像を図9に示す.照射時間0.01 msでも陽極酸化皮膜とともに素地のマグネシウムが除去されている.図8に示した陽極酸化皮膜のない未処理の場合では,同じ照射時間ではほとんど加工することができないことから,陽極酸化処理皮膜がレーザ加工性を向上させていることがわかる.さらに照射時間が増大するにつれ,未処理の場合と同様にディンプルの深さが増大し,照射時間0.5 msでは深いディンプルを得ることができた.このように陽極酸化皮膜はマグネシウム合金の耐食性を向上させるばかりでなく,波長1064 nmのレーザビームに対する反射率を低下させ,短い照射時間でもディンプル加工を可能にした.レーザ照射による表面凹凸の付与は,アンカー効果に基づく接着性の向上に寄与することが予想される. 3・3 接合性に及ぼすレーザ照射の影響 表6には,各種接着試験片の引張試験で得られた接合強度を示す.陽極酸化処理を行っていない研磨のままの試験片について,0.01 msのレーザ照射時間による接合強度は5.1 MPaであった.この短時間のレーザ照射では,図8に示すように試料表面がほとんど変化しなかったため,接合強度はレーザを照射しなかった試験片のそれとほぼ同じ値であった.レーザ照射時間の増加とともに,接合強度は向上した.これは図8に示すようにレーザ照射によって生図9 陽極酸化処理の表面へのレーザ照射部のSEM像 (a)レーザ照射時間:0.01 ms (b):0.05 ms (c):0.1 ms (d):0.5 ms − 322 −
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