助成研究成果報告書Vol33
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表4 陽極酸化皮膜の接合強度 表面処理陽極酸化処理(膜厚:4 μm)陽極酸化処理(膜厚:7 μm)陽極酸化処理(膜厚:10 μm)表5 陽極酸化皮膜+後処理の接合強度 4 μmが3.9 MPa,膜厚の最も厚い10 μmが5.3 MPaであり,膜厚の増加に伴い,接合強度は向上した.この結果は皮膜に形成される孔が接合強度に影響していることを示している.しかし,陽極酸化処理試前の耐水研磨紙(#1200)で研磨した試験片の接合強度が5.2 MPaであり,接着性に対して陽極酸化処理の効果はほとんど認められなかった.特に膜厚4 μmの接着強度は3.9 MPaと未処理のそれと比較し,25 %も低下した.表面および断面観察(図4)より,膜厚4 μmの陽極酸化処理を施すことによって表面には孔を含む凹凸が形成されているにもかかわらず,接着性が低下する結果は,接着剤が皮膜に形成された孔に充填されていないとともに,リン酸塩陽極酸化皮膜の接着性に対して,アンカー効果以外の因子が存在していることを示唆している.これまでアルミニウム合金の接着性に関して,本実験と同じホットメルト接着剤を用いた場合,アルカリ性のリン酸三ナトリウム電解液から得られる陽極酸化皮膜について,陽極酸化処理後,硝酸溶液に数秒間浸漬することによって接着強度が向上することを示した7).硝酸溶液に浸漬後も表面形態に大きな差異は認められな表面処理陽極酸化処理(膜厚:4 μm) +後処理陽極酸化処理(膜厚:7 μm) +後処理陽極酸化処理(膜厚:10 μm) +後処理図4 陽極酸化皮膜の表面および断面SEM像 接合強度 (MPa)3.94.95.3接合強度 (MPa)8.36.37.8図5 陽極酸化皮膜4 μmの接着試料の引張試験後いことから,接着性に対して表面極性が重要な因子であることが予想される. そこで,リン酸塩陽極酸化処理後に後処理として硝酸溶液に5秒間浸漬した接合強度を表5に示す.いずれの膜厚でも接合強度は向上しているが,特に膜厚の最も薄い4 μmでは3.9 MPaから8.3 MPaへと2倍以上向上しており,接着剤に対する表面極性が極めて重要であることが明らかになった.一方,膜厚10 μmでは5.3 MPaから7.8 MPaに向上するものの膜厚4 μmほどの効果は認められなかった.この結果は,表面極性とともに陽極酸化皮膜の表面形態が接着性に影響していることを示唆している. 膜厚4 μmの陽極酸化皮膜について,後処理を行った場合と行っていない場合での引張試験後の剥離面を図5に示す.後処理を行わない場合,マグネシウム基材に接着剤が部分的に付着しているが,接着剤が付着した部分では,剥離したもう一方の接着面に接着剤が付着しておらず,接着剤と陽極酸化皮膜の界面で剥離が生じていた.一方,後処理を行った場合,両方の接着面に接着剤がほぼ全面に付着しており,接着剤が凝集破壊していることが確認され,接合強度を支持する結果が得られた. の外観 (a)後処理なし (b)後処理あり − 321 −

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