2・3 接着方法 接着剤はホットメルトシート(エルファインNT,ポリアミド系,日本マタイ製,厚さ50μm)を20×20mmにカットしたものを用いた.図1には,接着方法の概略を示す.マグネシウム板間にホットメルトシートを挟み込んだ試験片を423Kに保持したホットプレート上に置き,試験片の温度が403Kに達した時点で接合部に20Nの錘をのせ,60秒間保持した.その後,試験片をホットプレートから常温の平板に移動し,再び20Nの錘をのせ,試験片の温度が333Kになるまで保持した.333Kになった時点で錘を取り除き,そのまま常温まで空冷した. 2・4 接合性の評価 接着後,図2に示す引張試験を行い,せん断強度を求めた.試験条件はチャック間距離100mm,引張速度0.5mm/minとした.なお,本実験では,接着性に及ぼすマグネシウム合金への表面処理およびレーザ照射の影響を検討するため,マグネシウム合金同士での接合を評価し,せん断強度を接合強度とした. 表3 レーザ照射条件 波長照射部直径焦点外し距離照射角度電流周波数照射時間ピッチ間隔図1 接着方法の概略 耐水研磨紙によって表面を研磨したAZ91D合金に対して,前処理(酸洗,デスマット)を行った後,表2に示す条件に従い,陽極酸化処理を行った.電解を開始すると,数秒間で試料表面が白色に変化し,皮膜生成を確認するこ3.実験結果および考察 3・1 陽極酸化皮膜の接着性 1064 nm 60 μm0 mm0 °20 A50 kHz0.01, 0.05, 0.1, 0.5100 μmとができる.また,試料全面から酸素ガスが発生するが,時間が経過し,皮膜が成長するに従い,ガスの発生は増加する.その後,電圧が上昇し,試料表面が酸化皮膜で覆い尽くされると,その酸化皮膜によって試料の表面抵抗が増加し,電流が低下するとともにガスの発生が減少する.さらに電圧がおよそ200Vまで上昇すると図3に示したように試料表面でほぼ均一に火花放電(スパーク)が発生し,絶縁破壊が生じる.それと同時に通電が回復し,電流は設定値に近づき,その後,電圧の上昇に伴い,酸化皮膜の膜厚が増大する. 図4には,研磨のままの試験片および膜厚を変化させた陽極酸化皮膜の表面および断面SEM像を示す.研磨した試験片には研磨の際に生じた研磨傷が観察されるが,平坦な表面であることがわかる.陽極酸化処理によって得られた皮膜には数ミクロン径の孔が分散して存在し,膜厚の増加とともに孔は拡大した.これらの孔は,電解中に発生する火花放電により形成され,断面観察においても表面観察に対応した孔が認められた.また,各々の孔の形状は単純な円柱状ではなく,複雑な形であることが断面観察よりうかがうことができる.接着において,接着剤がこれらの孔に充填されればアンカー効果による接着性の向上が期待できる. 表4には引張試験によって得られた接着試験片の接合強度を示す.陽極酸化皮膜の接合強度は,膜厚の最も薄い図2 引張試験の様子 図3 陽極酸化処理の様子 − 320 −
元のページ ../index.html#322