助成研究成果報告書Vol33
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図5 ハイブリッドレンズの(a) 構造と(b) 外観. 図3 色収差と波長の関係(計算値): 実線はハイブリッドレンズ, 破線は屈折単レンズ. 図4 パルスフロント歪とビーム半径の関係(計算値): 実線はパルス幅20 fs, 破線は100 fs. 図3に光線行列を用いて計算した縦色収差と波長の関係を示す。ハイブリッドレンズを用いると、波長780 nmを中心に広い波長帯域で、パルスの集光位置は波長に対してほぼ不感になる。比較のために図sf/τ∆noitrotsidmmz∆noitarreba citamohC/ 5005 esluP中心波長780 nm、パルス幅20 fs(波長帯域幅46 nm)のガウス型パルスを評価に使うことを前提に、先に導出した諸式を用いて光学系を設計・製作した。 まず、回折集光レンズの焦点距離をfd0 = 50 mmとして、式(1)から回折ビームスプリッタと回折集光レンズの距離をs = 50 mmと定めた。評価に使うパルス光源の出力に制約があるため、スプリッタでビームアレイをつくる代わりに、ブレーズ回折格子がつくる+1次回折ビームを用いた。回折角の条件を1.7°と2.9°に選び、集光面F1及びF2における光軸からのビーム高さをそれぞれ1.5 mmと2.5 mmに定めた。回折格子と回折集光レンズは、断面形状をブレーズ化して、厚み1.0 mmの石英ガラス基板上にフォトリソグラフィで製作した。どちらも回折効率は 90%を超え、波長や偏光には影響されない。そのため、波2.01.00.0-1.0-2.07002015104.光学系の設計と製作 Wavelength λ/nmBeam radius R/mmHybridSinglet78020 fs100 fs1086015長スペクトルの狭帯域化によりパルス幅が不要に広がることはない。 ハイブリッドレンズの基本構造を設計するにあたり、屈折レンズと回折レンズの材料には石英ガラス(アッベ数69)を選んだ。ハイブリッドレンズの焦点距離をF0 = 150 mmとすると、式(2)からf10 = 133 mmのときに色収差が除かれ(∆z = 0)、薄肉レンズの式からf20 = −1144 mmと決まる。入射ビーム径5.0 mm (2R = 15 mm)を仮定すると、式(3)からパルスフロント歪は∆τ = 5.0 fsと算出される。光学系の集光面F2におけるパルス幅はτ0 = 20.6 fsと見積もれるので、ほとんど広がらないことがわかる。設計したハイブリッドレンズの実効的アッベ数は18である。分散が小さい石英ガラスをレンズ材料に使っても、回折面の作用により大きな色収差を補正できる。光学系の長さもプロトタイプの半分程度になる。設計した基本構造には後述する製作方法を考慮した微修正が必要となる。修正後のハイブリッドレンズの焦点距離はF0 = 150.3 mm、屈折レンズの焦点距離はf10 = 132.2 mm、回折レンズの焦点距離はf20 = −1062.2 mmである。修正の前後でハイブリッドレンズの色収差特性に差がないことを確認している。 示した石英ガラスから成る屈折単レンズでは大きな色収差が生じている。図4に式(3)を用いて計算したパルスフロント歪とビーム半径の関係を示す。ハイブリッドレンズを用いた場合、パルスフロント歪はプロトタイプの場合の1/8まで小さくなる。比較のために図示した100 fsパルスに対しては、歪はさらに小さい。図3と図4に示した結果は、製作に用いたレンズ仕様をもとに計算したものである。 ハイブリッドレンズの製作では、屈折レンズと回折レンズは別々に用意して、空気ギャップを介して鏡筒に組み込むことにした。屈折レンズは平凸レンズとし、回折レンズは平板上に形成した。屈折レンズの直径は40 mm、中心厚は5.93 mm、空気ギャッ− 311 −

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