助成研究成果報告書Vol33
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図2 提案する超短パルスビームアレイ生成光学系の構成. DBS: 回折ビームスプリッタ, DFL: 回折集光レンズ, PP: 位相差板, HL1, HL2: ハイブリッドレンズ. 回折系の設計には式(1)を用いる。式(1)で、λ0はパルスの中心波長、∆λはパルスの波長帯域幅(半値全幅)、fd0はλ0に対する回折レンズの焦点距離、u0は回折角、sはスプリッタと回折レンズの距離である。式(1)から、s = fd0の条件で∆y = 0となり、横色収差が消える。中間の集光面F1においては、回折角によらず、集光パルスビームは等しい縦色収差をもつ。この空間的並列性により後段のアフォーカル系でビームアレイの縦色収差を消すことが可能となる。 アフォーカル系の設計には式(2)と(3)を用いて、∆z = 0と∆τ = 0が同時に満足されるように、レンズパラメータを決める。式中、F0はλ0に対するハイブリッドレンズの焦点距離、Rはアフォーカル系でのビーム半径、そしてcは真空中の光速である。微分係数はλ0における値である。屈折レンズと回折レンズの焦点距離をそれぞれf1(λ)、f2(λ)とするとき、薄肉レンズで近似すれば、������/�������である。ただしf1(λ) = f10[n(λ0)−1]/[n(λ)−1]、f2(λ) = f20λ0/λと与えられる。添え字の0は中心波長λ0におけるレンズの焦点距離を意味する。設計のパラメータにf10を選ぶと、∆z = 0となるf10と∆τ = 0となるf10の間にはわずかな差が生じる。この差をなくすには、屈折率の分散が小さい(アッベ数が大きい)ガラスを選ぶ必要がある。屈折レンズと回折レンズは同種のガラスでも異種のガラスでもよい。本研究では色収差の補正を優先し、∆z = 0となるf10の値に対して、あらかじめ設定したF0からf20を決める。ハイブリッドレンズの導入により光学系の設計の自由度は格段に広がる。 光学系に入力するパルスを時間幅τ0(半値全幅)のガウス型パルスと仮定すると、集光面F2におけるパルス幅は���������� で見積もれる。式(3)からわかるように、パルスフロント歪∆τは入力パルスの波長帯域幅∆λに比例する、すなわち、時間幅τ0に反比例する。このためにパルス幅が狭くなるほどパルスフロント歪は顕著に現れる。 生成光学系の色収差補正と分散補償を同時に行い、パルスフロント歪も除くことができる。 当初発案した光学系のプロトタイプでは、アフォーカル系を高分散ガラスから成る屈折単レンズで構成していた。われわれはこのプロトタイプを用いて色収差補正と分散補償の原理を20 fsパルスで検証し、ビームアレイの長さを制限する要因について調べた[19, 20]。しかし、プロトタイプにはビーム半径の二乗に比例して増えるパルスフロント歪が残っていたため、光学系の空間分解能が制約されていた。パルスフロント歪は屈折レンズだけではとりきれず、屈折レンズと回折レンズを組み合せたハイブリッドレンズの導入が不可欠である。 3.色収差補正と分散補償の定式化 ビームアレイ生成光学系の設計に用いる以下の式を導出した。式(1)は横色収差∆yを与える式、式(2)は縦色収差∆zを与える式、そして式(3)はパルスフロント歪∆τを与える式である。式(1)と(2)の導出には光線行列[21]を、式(3)の導出にはパルス伝搬の解析モデル[22]を用いた。近軸領域の仮定の下で、集光面F2におけるビーム位置とパルスの伸びをそれぞれ波長で級数展開し、一次近似により式を導いた。これらの式は、光軸上を伝搬するビームに加え、光軸外に回折されたビームに対しても成立する。 − 310 −���������������� �1� �����������2������� �2� �����������2�����2������������4��������������2������ �3�

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