助成研究成果報告書Vol33
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-TCPtargetH2Ogas キーワード:レーザーアブレーション,PLD法,ハイドロキシアパタイト,骨伝導材料 RadiationthermometercwCO2LaserObstacleballZirconiaplateYAGLaser41.研究の目的と背景 図1 実験装置図 子をアブレーションで放出させ成膜する方法であり、金属をはじめ酸化物等の成膜も可能である。同時に低真空の反応性ガス中でアブレーションさせる事で目的の化合物として成膜させることも可能である。このため現在、様々な分野の成膜に広く用いられている1)。生体材料の分野では生体親和性はあるが骨伝導性のない金属やセラミックス材料に骨伝導性のあるリン酸カルシウムを成膜することで擬似的に骨伝導性材料に変えることができる。大部分のリン酸カルシウムは生体内で破骨細胞に溶かされ、骨芽細胞によって骨代謝される生体内崩壊性である。一方。ハイドロキシアパタイトは最も難水溶性で直接表面に骨形成を促進させる生体内活性材料である。そのため、結晶性ハイドロキシアパタイトは骨に置換される期間が数年以上と長く、継続して骨形成を生体内で促すため早期かつ強固な骨固着が期待できる。この特徴を維持するためには緻密、高純度、高結晶性ハイドロキシアパタイトを成膜することが求められる。同時に膜と生体材料の界面での強く密着することで骨固着力に関しての機能向上に大きくつながる。 通常のPLD法を用いたハイドロキシアパタイト成膜はターゲット材料にハイドロキシアパタイト、アブレーションレーザーに紫外レーザーを用いて、20年以上に渡って研究されてきた2)。しかしながら、その多くは緻密でなく多孔質状のもので、結晶化を行うために500℃以上の高い基板温度上昇もしくは後プロセスとして水熱処理が必要であり母材の機械的強度の劣化を伴う事が問題であった3)。産総研ではターゲット材料に三リン酸カルシウム -TCP、アブレーションレーザーにNd:YAGレーザーの第4高調波(波長:266nm、パルス幅:10ns、繰り返し周波数:10Hz)を用いH2Oガス噴気中で高温度の基板上に成膜することでハイドロキシアパタイトが成膜できることを示した。このときアブレーション粒子は原子、分子、クラスターの非常に小さな粒子から、1mを超える液滴で成膜された。500℃の基板温度のとき真空からH2Oガス圧力の上昇で加水分解が促進され成膜物質中のハイドロキシアパタイトの比率が急激に上昇し、最大80%まで上昇することが確認された。一方、さらにH2Oガス圧力上昇すると、この比率は緩やかに下がった。付着粒子は粒子径に応じた厚さで堆積し、表面から加水分解する。そのため、深部まで完全に加水分解するには大きな粒子ほど高い基板温度でPLD(Pulsed Laser Deposition)法はパルスレーザーをターゲット材料に照射することで、材料と同じ組成の粒産業技術総合研究所 電子光技術研究部門 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017214) 主任研究員 屋代 英彦 のアニーリング、もしくは次に覆うように飛来する粒子までの間隔が長い低い成膜レートが必要である。これらは機械強度の劣化、スループットの低下といった大きな問題となる。一方、付着粒子を小径粒子に限定することで低温度でも高純度の結晶性ハイドロキシアパタイトの成膜が可能であると考え、液滴を排除し小径粒子に限定できるエクリプス法4)を用いたモデル実験を行った。その結果、低温度での高純度、高結晶性のハイドロキシアパタイト成膜が可能となった。その機能性である組成、結晶性、純度を顕微ラマン分光器、密着性をスクラッチ試験で評価した。 2.実験方法 実験装置を図1に示す。ターゲット材料には圧縮焼結した-TCPターゲットを用いた。レーザーにはNd:YAGレーザー第4高調波を用いた。 レーザー光は図のようにターゲットに対して45度の角度で集光し、この時の照射径は2x3mmの楕円状に照射し、照射強度は約4 J/cm2に相当する。成膜を行う基板には10 mm角、1mm厚みのイットリア安定化ジルコニアを用いた。ジルコニア基板はYAGレーザーの反対側からcw-CO2レーザーを照射して基板の表面温度を設定した。この温度の測定には放射温度計を設定して基板の放射光から温度を測定した。基板温度の設定誤差は±5℃であった。レーザー出力の不安定性による基板温度の変化は放射温度計で測定した温度をフィードバックすることで一定の温度で制御することが可能である。ターゲットからジル− 305 −PLD法による高機能性ハイドロキシアパタイト成膜

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