キーワード:焦点分布制御,回折レンズ,レーザー加工 計測など様々な分野で利用できる。このように、レーザー光を制御するための光学素子は、大きな注目を集めている。凸レンズやアキシコンレンズなどの光学レンズは、屈折によってレーザー光の分布を任意に制御するために使用される。 レンズの焦点距離は、その屈折率と曲率半径の関数である。レンズの組み合わせにより、さまざまなビームパターンを生成できる。レーザービームが凸レンズに入射すると、すべての光は単一の点に集束される。対照的に、アキシコンレンズを透過したレーザービームの波面は、回転対称軸によって伝播軸が与えられる円錐面によって与えられるので、円筒状またはリング状のビームを得ることができる。高い光強度の領域は、伝播軸上の干渉によって生成される。さらに、アキシコンレンズは焦点深度が深いため、アキシコンレンズの焦点距離を正確に制御する必要はなく、焦点深度は、円錐面の頂角のサイズによって制御される。 光学レンズは、曲率があるため、小型化が困難である。対照的に、回折レンズの焦点距離は屈折率と曲率半径に依存せず、レンズの表面に形成された構造によって制御できる。したがって、回折レンズは、光学レンズよりも焦点分布を制御する自由度が高い。さらに、回折レンズは曲率がないため、光学レンズよりも薄くできる。さらに、紫外領域の材料で製造することもできる。そこで本研究では、回折レンズの特徴に注目しながら、回折レンズの作製に関する研究を行ってきた。回折レンズは電子線リソグラフィーを使用して製造できる。さらに一度構造の形状が決まれば、大量生産および大面積構造の製造を行うために、ナノインプリント技術に移行するのが比較的簡単である[1]。さらに、波長のオーダーの厚さを有する回折レンズを作製することが可能である。 回折レンズは1875年にゾーンプレートとしてSoletらによって最初に開発された[2]。光の回折効率を改善するために、キノフォームはLesemらによって開発された[3,4]。その後、断面が階段状のマルチレベル回折光学素子の開発により、コンピュータ支援設計と大面積集積技術に基づくバイナリ光学素子が開発された[5]。マルチレベルグレーティングの構造により、キノフォームと同様の光学効果を得ることが可能である[6、7]。ブレーズ構造と同1.研究の目的と背景 レーザー光は、指向性が高いため、通信、記録、加工、三重大学 大学院工学研究科 電気電子工学専攻 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017213) 准教授 元垣内 敦司 等のサブ波長構造は、Lalanneらによって提案されたフレネルレンズをバイナリサブ波長構造に変換することによってレンズ構造を作製することを可能した[8、9]。さらに、この構造により、色消し回折レンズを製造することができる[10]。 我々の研究グループでは、発光ダイオード(LED)の配光を制御するためのバイナリ型回折レンズとしてLED光を集束するバイナリ回折凸レンズ[1,11]とLED照明を拡散するバイナリ回折凹レンズ[12] の2種類のレンズを作製した。これらのレンズにはいくつかのサブミクロン構造が含まれているため、その製造には電子ビームリソグラフィー技術を使用する必要がある[1,11,12]。一般に、フォトリソグラフィとナノインプリント技術は、大面積で低コストの量産に向いているが、モールドやマスクを必要とする。電子線リソグラフィーを使用すると、作製には時間を要するが、トライ&エラーを繰り返しながら、目標となるとなる最適な構造を得ることができる。 レーザー加工では、532nmや355nmなどのYAGレーザーの高次高調波の短波長レーザーを使用して、高アスペクト比で高アスペクト比の高深度に穴をあけることは困難である。これは、凸レンズの曲率半径またはアキシコンレンズの頂角を介して焦点距離と焦点深度を制御することが困難なためである。 これに対して我々の研究グループでは1枚の平らな基板上に凸レンズとアキシコンレンズの両方として機能する回折レンズ構造を設計、製作した。このレンズを、焦点分布制御型回折レンズと呼ぶ。これは、焦点距離と焦点深度を同時に制御できる光学素子である。バイナリ回折構造を持つアキシコンレンズは以前に報告されている[13–17]。これまでのほとんどの研究では、アキシコンレンズの焦点距離は輪帯半径の二乗に比例する。しかし、我々が提案した構造は、同じ基板上で凸レンズとアキシコンレンズの両方の機能をハイブリッド化するものである。本研究ではこのような焦点分布制御型回折レンズの構造について設計、作製、光学的特性評価を行い、レジストパターンのレンズ構造で焦点距離と焦点深度が制御できることを確認することを目的として研究を行う。更に、レーザー加工用レンズへの応用を目指し、石英ガラス基板をドライエッチングした石英ガラス製の焦点分布制御型回折レンズの作製も行ったので、これについても報告する。 − 298 − 焦点距離と焦点深度を同時制御可能な レーザー加工用焦点制御バイナリ回折レンズ
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