図5に,充填率と10kN負荷時の等価ヤング率の関係を示す.充填率と等価ヤング率の関係はやや複雑であることが分かる.しかし,両者には比例関係が存在し,エネルギー密度64~72 J/mm3のときに,等価ヤング率が予想に反して大きくならないと見ることもできる. 図6に,造形物の上面と垂直断面のSEM画像を示す. エネルギー密度(4つのパラメータ)ごとに焼結状態と内部構造に違いが見られたので,パラメータごとに考察する. 図6(a),(b)に基準造形物Aを示す.平均粒径25 µmの粉末が4~8個程度合体して100~200 µmの粒径のクラスタになっていることが分かる. 図6(c),(d)に走査ピッチを3倍にした造形物Cを示す.走査ピッチが大きくなると,粒子径の小さいクラスタが増加し,クラスタ間のすきまも増加することが分かる.走査ピッチ105 mの造形物Cでは直接レーザ照射されない部分が生じることから,粉末溶融があまり進行しないためにクラスタの粒子径が小さくなったと考えられる. 図6(e),(f)は走査速度を3倍にした造形物Eである.造形物Aの粒子径約100~200 mに対して,造形物Eの粒子径は約80mと小さなクラスタが多い.走査速度が増加し,粉末にレーザが照射される時間が短くなったことが原因である. 図5 圧縮荷重10kN時の等価ヤング率と充填率の関係 図6(g),(h)に示す積層厚さを3倍にした造形物Gは,クラスタの粒子径が大きく,積層方向に焼結が繋がってい図6 種々の条件で積層造形された試験片の上面組織は造形物内の空隙がつぶれクラスタ同士が接触を開始することが原因と考えられる.造形物Iに10kNを加えたときに,最大101GPaの等価ヤング率が得られた.造形物I,Jは圧縮試験初期から等価ヤング率が大きく上昇している.エネルギー密度25.9~77.7 J/mm3の造形物の多くは圧縮荷重7kN以降に等価ヤング率が増加し,約50 GPaに達している.これに対して,中間のエネルギー密度102~196 J/mm3の造形物H-, H, H+は,圧縮荷重7 kN以降も等価ヤング率の増加は見られず,約18 GPaにとどまっている. エネルギー密度が高い造形物でも,圧縮荷重を加える前の等価ヤング率は10GPaを下回る低い値を示した.この理由の一つには,造形したままの試験片を使っているので,圧縮試験のジグと接触する造形物の表面粗さが影響を及ぼしていることが考えられる.造形物表面の上下面を機械加工して平面出しを行ってから圧縮試験を行えば,低圧縮荷重域でエネルギー密度が高い造形物のヤング率が高く出る可能性はある. と断面組織のSEM観察像 − 289 −
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