助成研究成果報告書Vol33
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表1 レーザ積層造形条件とエネルギー密度 走査速度 v [mm/s] 走査ピッチ 積層用の金属粉末として最大粒径38μmの工業用純チタン粉末を使用した(図2).レーザ照射によるチタン粉末の急激な酸化・燃焼を防ぐために,加工スペース内の酸素濃度を0.1vol%未満のアルゴン雰囲気とした. 図3 エネルギー密度と充填率の関係 図2に示すように造形物は1辺5mmの立方体である.レーザ出力の上昇に伴いレーザスポット径が若干大きくなるので,その場合造形精度は悪化すると考えられる.今回は,6.8,11.5,21.9および30.1Wのレーザ出力で焼結実験を行った.寸法誤差は造形物の幅を測定することで調べた.その結果,レーザ出力の増加に伴い若干造形精度が悪化しているが,寸法誤差は0.45 mm以内に収まっていた.インプラントの許容寸法精度は0.5mmといわれている10)ので,焼結後の後加工なしで製品化できると思われる. 図4 等価ヤング率と圧縮試験荷重の関係 図3にエネルギー密度と充填率との関係を示す.エネルギー密度の増加に伴い充填率は増加している.なお,この図4に等価ヤング率と圧縮試験荷重の関係を示す.圧縮荷重の増加に伴い,等価ヤング率が上昇している.これ ここで,P はレーザ出力[W],v は走査速度[mm/s],s は走査間隔[μm],t は積層厚さ[μm]である. 試験片名 レーザ強度 P [W] 6.8 6.8 6.8 6.8 6.8 6.8 6.8 11.5 21.9 30.1 積層造形を行う上で加工条件を定量的に評価するためにエネルギー密度という指標を用いた9).エネルギー密度Eは単位体積あたりに与えられる全エネルギー量であり(1)式によって定義される. ■■■■■■ ■J/mm■■ ・・・(1) エネルギー密度153.3J/mm3の加工条件では,加工ユニット底面にヒータを設置して試験片が接する底面を473Kに加熱した.これは,熱ひずみで造形物が加工ユニットから剥がれるのを防止するためである. 以上のレーザ照射条件を表1にまとめて示す.以下に示す実験結果は,同一条件下で行った6つの試験片の平均値である. 2.2 ヤング率の測定 等価ヤング率は万能材料試験機(島津製作所社製,Auto–Graph AG–25TD)による圧縮試験によって求めた.圧縮試験では,まず1kNまで圧縮した後,0.1kNまで除荷した.次に2kNまで圧縮した後,0.1kNまで除荷した.この工程を10kNになるまで繰り返し.ヤング率は除荷開始後の10%のデータを用い,近似直線を作成し,その近似直線の傾きから算出した. A B C D E F G H I J 50 50 50 100 150 50 50 50 50 50 s [μm] 35 70 105 35 35 35 35 30 35 35 図でH-, H+の標記は,Hのエネルギー密度を若干増減させたものである.I-についても同様である.最も高い充填率は造形物Jの75.6 %であり,逆に最も低いのは造形物Gの48.9 %である.造形物Aのエネルギー密度を基準とすると,それより大きなエネルギー密度H, I, Jの場合は,エネルギー密度と充填率の関係は線形である.また,造形物Aより低いエネルギー密度の領域では,同一のエネルギー密度であっても,積層厚さが充填率に与える影響が最も強く,次いで走査速度,走査ピッチの順である. 積層厚さ t [μm] エネルギー密度 E [J/mm3] 77.7 38.9 25.9 38.9 25.9 38.9 25.9 153 250 344 50 50 50 50 50 100 150 50 50 50 加工ユニット温度 T [K] - - - - - - - 473 473 473 3.実験結果 − 288 −

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