4.結び 図12.Alフォイルの熱膨張相当測定結果. 今回の研究結果は以下のようにまとめることが出来る. (1) XANES測定とAFM測定から,付着加工技術で形成されたh-BNを含有する膜は,高熱伝導特性を有するh-BNのa軸が基板に垂直状に配向して形成していることが分った.低コスト化するため,ダイヤモンド添加量を低減し,h-BNを多く添加することが重要であることを示唆している. 状の影響もあることが推察される.膜の特性向上のため,酸化防止の成膜環境改善策が必要である. 導測定から,有機バインダーなしで,黒アルミナより大きな熱伝導率を有する膜に形成されていることが確認された. 本研究の遂行あたり,公益財団法人天田財団の一般研究開発助成を賜りましたことに,深く感謝の意を表します.又,放射光測定について支援頂いたKEKのフォトンファクトリー施設の北島義典 講師に深く感謝致します. 1)鈴木勝彦,プラスチックス4月号 解説記事2013 年, p57~p61. 謝 辞 参考文献 (c-2) SiC 25[at.%],h-BN 50[at.%],ダイヤモンド25[at.%]の混合微粒子膜形成された計4試料について測定した.また,室温でこれらの膜厚は,(a)100μm,(b)115μm,(c-1)107[μm],(c-2)106[μm]程度であった.熱膨張は,ΔLをマイクロスコープで観察・測定し,その逆数を熱膨張相当測定結果(図12)として,相対比較を行った.CuフォイルとAlフォイルのバルクの熱膨張の温度変化の参考文献と比較し妥当な測定が可能なことが確認された.その熱膨張計において,Alフォイルに成膜した試料の測定をおこなった.その結果,(a)の熱膨張率を1として比べると,(b)は0.43倍,(c-1)は0.12倍,(c-2)は0.094倍であり,想像以上に小さい温度変化が得られた.真空度は樹脂容器のため0.1気圧程度のため,測定中に膜が酸化されて小さい値になったものと推察される.Alフォイルは100[μm]と薄いので表面酸化(アルミナ化)は熱膨張率に大きな影響を及ぼし,SiCは一部SiO2に変化し,h-BNはそもそも負の膨張率を持ち,しかもダイヤモンドはシート状でないため還元へ寄与が少なく,元々1.1×10-6 [/K]とアルミの0.047倍となっていることが要因と推察される.酸化を極力避ける工夫と傾斜組成にする等の改善が必要と考えられる. 3・5 膜の熱伝導率測定結果 サーモカメラ2の一つの画面のポイントで膜表面温度と,もう一つのポイントでAl基板表面温度及びサーモカメラ1の画面のポイントでAl基板裏面温度を測定した.その時間変化の結果を図13(a),(b)に示す. 図13の(SiC 60[at.%] / h-BN 40[at.%])微粒子膜の結果を使い,平衡になった状態での上記3点の温度を読みよりその結果を使い膜の熱伝導率を求めた.(a)から約26 [W/(m・K)],(b)から約38[W/(m・K)]と得られた.図から分るように膜の裏面すなわちAl基板表面の温度は後で測定した(b)の方が(a)より大きくなっている.(b)の方が加熱履歴により基板と膜との密着性が高まり,より大きな熱伝導性を示す結果になったのかもしれない.この値は黒アルミナより大きな熱伝導率を持つ膜が形成されたことを示している. (2) 希ガスのArをキャリアガスとして使い膜の酸化防止処置をしたためか,h-BNの放射光測定結果から本付着加工法によるその物質の酸化は観測されなかった.一方,SiCにおいては,放射光及びXPS測定から成膜時に希ガスを使ってもレーザー照射によりSiO2が形成されることが判明した.又,この酸化は微粒子形(3) 熱膨張特性の温度変化測定結果にも酸化による影響が見られたが,付着加工法により形成された膜の熱伝(a) (b) ) 図13. 各測定点の温度変化結果. − 282 −
元のページ ../index.html#284