助成研究成果報告書Vol33
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レーザー光線λ= 632.8[nm]る.一方,本付着加工法では上記報告と違い,低温での成膜法で形成したためか,h-BNのXANES(TEY法)測定では同様の酸化に関連するピークは全く観測されなかった.このようにSiCと違い,本付着加工法は高熱伝導性を有するh-BNにおいては,膜の酸化は極微のようである.また,Nの吸収端近傍構造測定でも成膜性の良さは確認されている.さらに,図9のπ*ピーク値とσ*ピーク値との比π*/σ*について,h-BN粉体の比と付着加工した膜の比との比較から膜は基板に対して少なくとも内部表面層においてSiCだけでなくダイヤモンドを含んでいても垂直状になっていることを強く示唆することが解析から分った.この結果は,AFM像の結果と一致している.ナノレベルで膜をAFM観察したところ原子間距離が約3.3[Å]であった.この事はAl基板にa軸方向(バルクでの熱伝導率が200[W/(m・K)]~300[W/(m・K)])が垂直状に成膜されていることを強く示唆している.また,Cの結果はSiCとダイヤモンド膜内で本来の結晶形状を保持している結果が得られている.さらに,酸素(O)の結果からは膜が酸化されていることを示す結果が得られている.図9ではダイヤモンドの影響は不明であったが,Cの結果において,ダイヤモンド添加試料と比べてグラファイト,グラフェンを添加した方が酸化の度合いが少ない傾向が見られた.これらの微粒子形状がシート状なので,この結果はSiCやh-BN微粒子との接触面積が大きくなり還元作用がより大きく作用したためではないかと推察される. 3・3 X線光電子分光(XPS)測定結果 図10. (SiC 60[at.%] / h-BN 40[at.%])微粒子膜. (a)スパッタ前,(b)5分スパッタ後. (a) (b) 図10に(SiC 60[at.%] / h-BN 40[at.%])微粒子膜(レーザー照射無し)のXPSの測定結果を示す.図11(a)はスパッタ前のデータで(b)は5分間スパッタ後のデータである.200[eV]以下のSi由来のピークが,表面(凡そ10[nm])において図10(a)から分かるようにほとんど検出されなかった.しかし,図10(b)から分るように,5分間スパッタした後のデータでは存在を示すあきらかなピークが観測された.他のレーザー照射しない試料でも同様の結果が得られている.また,5分スパッタ後のデータではしっかりと,構成元素のSiの他のC,Nピークが確認された.又,XANES測定でも見られたように,試料が酸化されたことを示す酸素(O)のピークも確認され,96[eV]~108[eV]のスペクトルの詳細データからSiCの形成が確認されている.その他にKaur等によるSi基板上に,コーテングしたPMMA膜の上に空気中でKrFエキシマレーザーを照射してSiC/Siダイオードを作製した報告14)において発生したSiO2の形の同様のスペクトルが104[eV]付近にも見られている.これは5分スパッタ後のデータに見られたもので,成膜後に酸化されたのではなく,成膜時に酸化されたものと見るのが妥当と考えられる. 3・4 膜の熱膨張率測定結果 2枚の石英ガラスに,レーザーを斜め入射させた場合の様子を図11に示す.図から干渉による明線間距離ΔLは, 式(1)のように表される.よって,角αを90°近くに保持し,角(β-α)を0°になるべく近くなるように配置させる事により100倍以上に感度を上げられることが分る. 実際,図4に示す装置構成で,アルミフォイル10[µm]と110[µm]の厚さのものを数枚使用しΔLの厚さとの関係を予め求めたところ.その逆数は厚さに非常に良く比例し正常に動作することが確認された. この装置を使い室温から200[℃]の温度範囲で膜の熱膨張の測定を行った.(a)Alフォイルのみ,(b)AlフォイルにSiC膜形成された試料,(c)Alフォイルに(c-1)SiC 35[at.%],h-BN 50[at.%], ダイヤモンド15[at.%]と 図11.楔形空間層よる光の干渉計の構成. − 281 −

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