図7. 振り子運動レーザー支援微粒子付着加工膜 (a)活性炭膜,(b)SiC 60 [at.%] / h-BN 40[at.%],(c)h-BN膜.図9.BのK吸収端近傍構造測定結果. 層状物質である活性炭を粒径数ミクロンレベルにボールミルした微粒子を用いて,ノズルの振り子運動でPOM基板に成膜した膜表面のAFM像を図7(a)に示す.図から分るように,基板に垂直状に配向した状態が観察7)された.シート状物質を気流中で落下させると空気抵抗が少なくなるように床に垂直状態で落下するが,それと同様な現象が,Arのジェット流で層状材料が基板に到達する間に起きて,基板に垂直状になり,そのまま衝突して垂直状に膜が形成されたと推察される.SiC微粒子は硬質性と高熱伝導性を持つ半導体であるものの,僅かな導電性不純物混入で伝導性が増大してしまう.そこで絶縁性を高め,熱伝導性を高めるため結晶方位により高い熱伝導性を有する絶縁性層状化合物のh-BNを40[at.%]混合させて膜を形成した.その膜表面のAFM観察を行ったところ,層状化合物でないSiCが60[at.%]含有された混合微粒子であっても図7(b)に示すようにh-BNが活性炭と同じように基板に垂直状になって膜形成されたことがAFM像で観察された.h-BNのみでも図7(c)に示すように基板に垂直状に形成される様子が観察された.しかし,h-BNは活性炭と違い付着がし難かったが,現在のところ原因は不明である.SiCは層状化合物でないためかAl基板に付着し易いので,基板にh-BNが到着して基材上ですべるのを防ぐ役目をして付着性が高くなったのではないかと考えられる. 3・2 X線吸収端近傍構造とX線光電子分光 次に,形成膜の表面を含む内部状態を調べるため,X線放射光測定を行った.放射光測定は,Si,B,N,O,Cの軟X線のK吸収端近傍構造(XANES)をKEKのフォトンファ 図8.SiのK吸収端近傍構造測定結果. クトリーで測定した.XANES測定により膜の10[nm]~100[nm]程度の表層に関する情報が非破壊で得られる. 図8にSiC微粒子によりAl基板にレーザー支援微粒子付着加工した膜とレーザーなしで付着加工させた膜の測定結果を示す. 未校正データのため僅かなずれが見られるので,不確定要素を含んだ検討となるが,β型SiCのスペクトル特有のSiに由来するピークを持ち形状と値が類似9)していることから形成膜はAl基板にしっかり形成されていることが推定される.また,Li等によるa-SiO2と方珪石の結晶形の混合度合いに関するSi K吸収端近傍構造スペクトル10)の1855[eV]近傍の変化と本実験で成膜したデータと比較すると,レーザー照射によりβ型SiCから一部が非結晶質SiO2に変化したと考えられる.付近スペクトル形状からレーザー出力の大きい方がさらにそれが進行したように推察される.また,酸化の進行程度について,1840[eV]近傍の形状変化と,SiOの熱処理温度による形状変化(与儀等11))比較からもレーザー出力の増大で酸化の進行が促進されることが推察される.これらのことから酸化を抑える工夫をしながら結晶性を向上させるためのレーザーを照射する必要があると考えられる. 次に,SiCだけでなくh-BNとダイヤモンド微粒子との3種類を混合した微粒子で成膜した膜の10[nm]~100[nm]近傍の内部の様子を放射光(BのX吸収端近傍構造)測定した結果を図9(図のαはダイヤモンド)に示す.膜はh-BN の成分組成を50[at.%]の一定にして,レーザー照射(出力0.2[W])の有無,ダイヤモンド微粒子の粒径と成分組成を変えて成膜した. 図9から分るように,スペクトルはh-BNの粉体の結果とほとんど同じ形状で過去の報告12)とも一致しており,h-BNは付着加工技術を使用により,しっかり成膜されていることが確認された.CVD法でSiO2の酸化膜付きSi(100)基板上に形成されたh-BN膜のXANES(PEY法)測定13)が報告されているが,1000[℃]まで昇温して成長させる手法のためか,酸化に関連するピーク群が観測されてい− 280 −(a) (b) (c) SiC膜
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