図1.レーザー援用微粒子付着加工技術. 図2.未付着微粒子回収装置付き成膜システム. 1.研究の目的と背景 2.実験方法 キーワード:レーザー,混合微粒子,付着加工,絶縁性高熱伝導膜アルミナのモース硬度は9と大きな値を持ち,バンドギャップが約6[eV]と大きい絶縁体であり,その熱伝導率は,黒アルミナの場合,22~31[W/(m・K)]程度と比較的大きい.更に低コストなためヒートシンクのAl基材上の被膜として多用されている.また,炭化ケイ素(SiC)とダイヤモンドのモース硬度はそれぞれ9と10であり,アルミナ同等もしくはそれより堅い材料である.これらの熱伝導率は,それぞれ200~300[W/(m・K)]程度と1000[W/(m・K)]~2000[W/(m・K)]と黒アルミナと比べて非常に大きな熱伝導率を有しているので.耐久性に優れ機械的にも有利である. 高価な真空装置を使用せず低コストで成膜する技術として,レーザー援用して基板に微粒子ジェットして成膜する技術「レーザー援用微粒子ジェット成膜法」1~4)が開発されている.その技術を活用することによりモース硬度が2~3と低く安価なAl基材に成膜すれば,上記の微粒子の硬質特性・高熱伝導性をコスト的に有利に活かせる. 上記のダイヤモンドは高価な材料なので比較的低価格な工業用のモノを活用し,比較のため同素体で電気伝導性を有する低価格のグラファイト又は高価格のグラフェン(約5000[W/(m・K)])を代わりに添加して検討した.更に,なるべく特性を低下させずに低価格化を促進させるため、a 軸方向の熱伝導率が200~300[W/(m・K)]以上の特性を持ち電気的絶縁性の高いh-BNも活用した. レーザー光のエネルギー吸収を活かすため,グレー色で高熱伝導性を有するSiC微粒子を主成分にして試料膜を形成し,形成膜の熱膨張特性,熱伝導特性,原子間力顕微鏡観察,放射光(X線吸収端近傍構造(XANES))測定及びX線光電子分光(XPS)測定を行い検討した. 2・1 新方式による膜形成技術 熱可塑性樹脂のポリアセタール(POM)基板の特性を活かし, レーザー援用微粒子ジェット成膜法により,これまで配線や積層型キャパシタなどの受動素子をミクロンサイズで埋込形成し,OPアンプは既製品を使用して,埋込型のローパス・フィルター回路,反転増幅回路や非反転回路を形成した5).いずれも正常に作動し,計算結果と非常に良い一致が得られている. 今回この技術を機械分野に応用展開するため,マイクロ国立高等専門学校機構 仙台高等専門学校 総合工学科 (平成29年度 一般研究開発助成 AF-2017209) 教授 鈴木 勝彦 サイズからミリサイズに形成出来るように開発を試みた.これまで類似技術として,バイモルフ圧電素子を使用してPOM基板に矩形溝状に加工が可能なことが確認6)されている.しかし,圧電素子の振れ幅が小さいため,線幅は1[mm]程度までしか形成できていない. そこで,今回,ステッピングモーターにノズルを固定して振り子運動する方法を試みた.図1にその技術の概要を示す.以下「レーザー援用微粒子付着加工技術」と呼ぶことにする.ステッピングモーターの軸の先端にノズルを固定し,数Hzで振り子運動させながら,波長532[nm],CW型のレーザー光を,平凹レンズを通して振り子の振れ幅程度に広域に照射しながら,不活性のArガスをキャリアガスとし,微粒子をジェット噴射して成膜を試みた.2.2 未付着微粒子回収・再利用可能な成膜システム 図2に作製・構築した未付着微粒子回収・再利用が可能な成膜システムを示す.微粒子として,ダイヤモンドやグ− 278 −レーザー付着加工技術によるAl上への高抵抗・高熱伝導硬質膜形成技術開発
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