助成研究成果報告書Vol33
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4.2 LICの内部抵抗値 合,各孔径において開口率は1 % とした.この図より,孔径が小さいほどドープされた層数が多い,つまりドープ速度が速いことがわかる. 図10にドープされた各層別の放電容量を示す.ここでは電解銅箔に形成する孔径を20μmとして,開口率を1~4 % まで変化させた電極集電箔を作製し,反応時間を変化させた際の各層における放電容量を測定した.開口率が1 % および2.5 % では層が増えるにつれて放電容量が低下していくが,4 % では反応時間にほとんど関係なく深い層までほぼ一定の放電容量が確保できている.これらのことから,電解銅箔に形成する孔径は最大でも20μm以下が好ましく,かつ開口率が4 % 以上であれば,LICのドープ速度の改善に効果的であると言える. 図10 開口率と放電容量の関係 LICの内部抵抗値の評価試験を行った.ここでは2032型コインセル構成のボタン電池型LICを作製した.内部抵抗値の測定には充放電なしでもリチウムイオンが十分含まれている構成が必要となり,図11に示すように両極をリチウム金属とし,紙セパレータを挟んで孔あき集電体を1枚挿入している.ここでの孔あき集電体は,グラファイトが未塗布のものである.周波数1 kHz時の電気抵抗を測定して,開口率および孔径の違いによる抵抗値の傾向を探った. 孔あき集電体の孔径を変えてLICの内部抵抗値を測定した結果を図12に示す.この図は各孔径において,開口 図11 2032型コインセル構成のボタン電池型LIC 率1 % の電解銅箔を作製し,孔径ごとにボタン電池型のLICの内部抵抗値を測定したものである.孔径が50μm以上では比較的大きな抵抗値を示しており,内部抵抗値を下げるには孔径をおよそ20μm以下にすれば良いことがわかる. 図13は開口率を変えてLICの内部抵抗値を測定した結果である.この図では電解銅箔に形成する孔径を18.5μmとして,ボタン電池型のLICの内部抵抗値を開口率ごとに測定した.図中,No foilは電解銅箔なしを意味しており,この状態が考えられる最小の内部抵抗値である.また,開口率0 % は孔加工を施していない未加工の電解銅箔を意味しており,この状態が考えられる最大の内部抵抗値である.図中の点線は電解銅箔なしの抵抗値のラインであり,このライン付近の抵抗値であれば十分に低い内部抵抗値であると言える.これより開口率が5 % 以上であれば,電解銅箔なしの場合と同程度の内部抵抗値を取ることがわかる. 図12および図13より,開口率が5 % 以上あり,かつ形成される孔径が20μm以下であれば,LICの内部抵抗を低減化することができると言える.これらの数値は,4.1節で述べたLICのドープ速度改善に効果的である数値と一致する. 図12 貫通孔径と内部抵抗値の関係 図13 開口率と内部抵抗値の関係 − 272 −

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